進化の初期段階の生物だと判明
このうにうにと奇妙に動く物体の正体は珍渦虫(ちんうずむし)(学名:Xenoturbella)。北ヨーロッパ、バルト海の海底に生息する謎の生物だ。
1949年に発見されたが、60年経った最近まで、これが一体何者なのか、誰もわからずにいた。
脳も目も足もなく、眼や触角などの感覚器官もない。
長さは4cm以下。やや細長い。形は扁平で左右対称なのが特徴だ。
非常に単純な構造をしており、中枢神経系や、生殖腺その他の独立した器官がない。
あるのは口と腸だけ(肛門はない)だけ。
奇妙に動きながら口から餌を取り込んで排泄物を出すだけなのだ。
生殖法も不明とされており、何故かバルト海にしか存在していない。
このウネウネした生き物が何のために生きているのか、長らく謎だった。
しかし、2016年2月、正体が判明した。
進化の初期段階、今まさに進化中の生物
オーストラリアや米国の研究チームが科学誌ネイチャーに発表した論文によると、珍渦虫は進化の初期段階の生物だという。
研究当初は軟体動物と誤解されており、複雑な生物が退化して単純な生物になったという説が有力視されていた。
しかし西オーストラリア博物館のネリダ・ウィルソン研究員らのチームの調査の結果、この珍渦虫はもともと進化の枝分かれの初期状態にある生物だったことが分かったという。
つまり、今まさに進化の途中にある生物なのだ。
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遺伝子などを詳しく調べた結果、複雑な生物が退化したのではなく、最初から単純な生物だったとの結論に至ったそうだ。
調査の結果、珍渦虫は二枚貝と近縁であると予想され、また独特な卵形成を行うさまから、二枚貝の原鰓(げんさい)類と共通であることも報告された。
この珍渦虫(ちんうずむし)は今後進化した結果、魚のようになるかもしれないし、もしかすると人間のようになるかもしれない。
もしかすると人間の脅威になる恐るべき生物に進化を遂げることも考えられるのである。
ん…となるとこの生物は未知のエイリアンがバルト海に放り込んだ地球への刺客…?
そこまでいくとさすがにSFの世界になってしまうが、まさに今進化中の生物が地球に存在していることに、少しロマンを感じてしまうのである。
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