その症状、天気痛かも!?
雨が降ると、昔ケガをした関節が痛む…。
天気が悪くなる前に頭痛がして家事や仕事が手につかない…。
季節の変わり目になるとめまいがしたりだるくなったりする…。
実はこれ、すべて天気のせいかもしれない。
“雨が降ると古傷が痛む”は迷信ではなかったのだ。
今回は、「天気痛」と呼ばれる体の不調の正体とメカニズム、対策方法をご紹介する。
気圧・気温・湿度で自律神経のバランスが崩れると天気痛を引き起こす
人間の身体には外部の環境の変化にかかわらず、体温などを一定の状態に保とうとする力がある。
これをコントロールしているのが、自律神経だ。
気圧が低くなる(=天気が悪くなる)と人間はこれをストレスととらえ、抵抗するために自律神経の交感神経が優位になる。
交感神経が優位になると、痛みの回路が脳内で活性化され、頭痛や慢性痛につながるのだ。
気圧・気温・湿度など天気の変化によって、あなたの自律神経は大きく影響を受けているのだ。
自律神経のバランスが崩れると、
病院に行くほどじゃないけど、なんだかキツイ…。
という状態を招く。
慢性痛を持つ人の4人に1人は天気痛があるといわれている。
敏感な人は南シナ海あたりに台風が生まれた瞬間に体調の変化を感じ取ってしまうほどなのだ。
以下に天気痛のチェックリストを掲載した。
チェックした数が多ければ多いほど天気痛の可能性が大きい。
天気痛チェックリスト
体長の変化で「雨が降る」「気圧が変化する」のがなんとなくわかる
乗り物酔いをしやすい
学生時代など過去にスポーツで骨折などの怪我をした経験がある
春や秋、梅雨など、季節の変わり目に弱い
雨が降る前に頭痛や眠気、めまいを感じることがある
首を痛めたことがある
肩こり、偏頭痛持ちである
几帳面な性格だと思う
耳鳴りがしやすい、耳抜きが苦手、新幹線や飛行機に乗ると耳が痛くなりやすいなどの自覚症状がある
ストレスを感じやすい性格。もしくはストレスの多い生活を送っている
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天気痛が引き起こす10の症状
天気痛が引き起こす症状は、事故の古傷や神経痛などの典型的なものから認知症の副症状の悪化まで多岐に及ぶ。
自分が抱える症状と照らし合わせて、天気痛と関係しているかチェックしよう。
頭痛
天気痛の症状で多いのが頭痛。
頭痛には頭全体が締め付けられるように痛む筋緊張型頭痛とこめかみあたりを中心にズキズキ痛む片頭痛がある。
このうち、片頭痛の4割が天気の影響を受けている。
天気痛の偏頭痛には予兆があり、頭痛になる2、3日前にだるさや生あくび、眠気などの症状が表れる。
首痛
頭や首は、自律神経の始点である脳や気圧を感知する内耳に近いためか、天気の影響を受けやすい場所といわれている。
過去に首にケガをしたことがある、悪い姿勢からくる首や肩のコリがあると天気が影響しやすい。
長時間のパソコン作業などのときはたまにストレッチをして首のコリそのものを防ぐことが天気痛対策の一つだ。
めまい、メニエール病
めまいは内耳が関係している。
内耳の平衡センサーが体のバランスをとっており、何らかの障害があるとめまいとなってあらわれるのだ。
内耳による原発性のめまいのほか、頚椎が原因のめまい、片頭痛の予兆でめまいが出る場合もある。
めまいの症状が出るメニエール病も天気と関連がある。
耳がツーンとする
天気痛は内耳の異常から始まることが多い。
天気が崩れる前に耳の奥がツーンとしたりボワーンとするのは天気痛の可能性がある。
耳の症状と平衡感覚はセットで出やすいのが特徴で吐き気や眠気といった症状につながるケースもある。
気管支喘息
高齢者の喘息発作が、天気の関わりあいが深いと考えられている。
天気が崩れたときや秋口など天気の変わり目も注意が必要。
湿度を含んだ暖かい空気から、一転して秋の乾燥した冷たい空気を吸い込んだときに発作が出やすい傾向にあることがわかっている。
朝方の空気が冷たい時間帯に発作が出やすいといわれており、該当症状が出たら天気痛を疑ってみよう。
リウマチ
関節リウマチは症状悪化の3日前の気圧と特に連動しているといわれている。
天気が悪い日は痛みがひどく感じるというデーターがあるが、その日よりも3日後のほうが痛みを強く感じるという患者のデータが多いと報告されている。
まさに天気と密接した関係を示している。
事故の古傷や神経痛
天気痛の代表的な症状。
慢性の痛みは脳が関係しているため、古傷の痛み、神経痛、頭痛、膝痛などは天気に特に影響を受けやすい。
気圧の変動によって脳が1度記憶した痛みの回路をスイッチオンにするような現象が起こることが原因とみられている。
更年期症状
天気と関連性が高いといわれているのは、更年期症状のうち、気分の落ち込みや抗うつ感。
生活のリズムを整えて、自律神経の乱れを少なくすることを心がけよう。
また、更年期症状だと思っていたことが更年期とは関係なく単なる天気の影響だったということもあるのだ。
うつ・不安症
“曇りの日は気分もどんよりする”ということはよくあることだ。
「心の不調」といわれる諸症状は気圧の変化に大きく左右される。
つまり、天気痛をコントロールすることが症状の緩和につながることがある。
天気痛への理解や認識が広がることで、うつや落ち込みの対処法=即投薬ではなく、以降に紹介する天気痛対策を行うことで改善することも十分考えられるのだ。
認知症の副症状の悪化
認知症の副症状とは、判断力や記憶力の低下、また自分がどこにいるのかわからないなどの見当識障害が該当する。
周囲の人が天気と症状の記録をつけていくことによって、天気の変化に惑わされない環境を整えることができる。
まずは家族や周囲が天気と関係があることを知ることが重要だ。
天気痛を防ぐための対処法
いかがだっただろうか。
もし上の症状に当てはまることが多い場合は、これから紹介する対処法を試してみるといいだろう。
【STEP1】痛みやめまいのリズムと天気・気圧の変化を知る
天気の変化だけで症状がひどくなり、寝込んでしまう人もいるという天気痛。
天気痛を防ぐには、まず今自分に発生している不調や痛みが天気によるものなのかどうかを判断できるようになる必要がある。
天気と痛みの関係を理解するために「痛み日記」をつけることをオススメする。
天気の変化と自分の体の状態、痛みの強さや弱さの移り変わりについて、メモ書き程度でよい。
具合がわるいときだけでなく、“これから痛みが起こりそうな気がする”という要注意のタイミングもチェックしよう。
症状、トリガー(きっかけ)、タイミングを知り、自分の天気痛を“見える化”することで、ある程度症状を軽くすることができる。
・頭が痛くなる
・なんとなく不調
・だるい
・眠気
・生あくび
・耳がボーンとする
天気痛が起こるタイミングを把握できるアイテム
天気痛バンド
天気痛に効果がある「内関」といわれる手首のツボを刺激するリストバンド。
天気痛が起こってからよりも起こりそうなタイミングで装着するのがベスト。
頭痛ーる
月間15万人が利用している、気圧変化にコメントが書き込めるようになっている無料スマートフォンアプリ。(無料)
1ヶ月程度症状を書き込むと、どのような気圧変化でどんな症状が表れるのかがわかるようになり、ケアのタイミングが読める。
iOS(iPhone)版のダウンロードリンク
Google Play(Android)版のダウンロードリンク
まずは気象情報と症状を書き留めた「痛み日記」、または気圧の変化に症状を書き込みできる「頭痛〜る」などを使って自分の症状、トリガー、タイミングを把握する。
1ヶ月つければ天気が出揃うのでトリガーとタイミングがわかる。
自分は低気圧の前に症状が出るのか、高気圧の前なのか、どのような症状が起こるのかを把握することが大事なのだ。
対処のポイントは、症状が出る前だ。
【STEP2】酔い止め薬を飲んで天気痛を未然に防ぐ
天気痛は、内耳に作用する薬で予防できる場合がある。
市販品を使うなら『酔い止め薬』。薬剤師に相談すると、市販品の中から内耳に作用する成分(抗ヒスタミン剤)が入った酔い止め薬を処方してくれる。
薬を飲むタイミングは、気圧の変化する前。
気圧が下がりきったり、上がりすぎると効果が薄い。
天気痛バンドも同様に、症状が起こる前から装着すると効果的だ。
生活習慣や漢方薬で自律神経を鍛えておくのもよい。
自分の症状に合わせた対処法で、天気痛が重くならないように工夫しよう。
お医者さんに相談する場合は、まずは内科、婦人科、呼吸器科など自分の不調が出るところの医師に相談。
残念ながら天気痛を理解する医師がまだまだ少ないため、難しい場合もあるのだ。
天気痛を理解する医師が近くにいれば相談して、まずは薬を処方してもらうとよい。
該当成分が含まれる酔い止め薬(初回は必ず医師の処方を受けてください)
内耳の中を流れるリンパ液の滞りや、自律神経の乱れを整えるための方法として漢方薬もオススメだ。個人の体質によって合うもの・合わないものがあったり、持病の薬との組み合わせもある。使用する前に担当医や薬剤師に相談しよう。
オススメの漢方薬
五苓散(ごれいさん) 抑肝散(よくかんさん)・当帰四逆加呉茱萸生姜湯(とうきしぎゃくかごしゅゆしょうきょうとう)・半夏白朮天麻湯(はんげびゃくじゅつてんまとう)・柴苓湯(さいれいとう)
天気痛に効くツボ
ペットボトル温灸で天気痛に効くツボを刺激!
天気痛が起こる前に刺激すると効果的なツボが存在する。
ペットボトルを使用した温灸を行うことで、症状を大幅に緩和することができる。
やり方は、ホット専用のペットボトルの3分の1に水道水を、3分の2に沸騰直前のお湯を入れる。
ツボに温かいペットボトルを当てて、アチチと感じたら離す。
これを3〜5回繰り返す。
内関は天気痛の症状が出る前、出たあとに当てる。
この箇所は指で押すだけでも効果がある。
厲兌(れいだ)と完骨(かんこつ)は、気圧の変化が起こりそうなときに当てるとよい。
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天気痛にまつわるQ&A
天気痛が起こる仕組み
気圧の変化を受け止めているのは耳の奥にある「内耳」というところだ。
気圧の変化を感じるセンサーがあり、キャッチした情報を脳に伝えている。
センサーが過敏に反応すると、体質や疾患により天気痛が起こるのだ。
どういう人が発症しやすい?
内耳が敏感な人がかかりやすいと言われている。
車や船などが苦手な人は内耳が敏感な体質といえる。
内耳の感受性について実験を行った結果、天気痛の人は普通の人よりも敏感であることがわかっている。
季節によって症状の出方は変わる?
変わる。
寒暖差が激しい春や長雨の梅雨、台風が多い秋は天気痛が起こりやすい季節。
冬は比較的安定しているが雪による天気痛もあるので注意が必要。
敏感な人は1日の気圧の変化にも反応することがある。
気圧が下がるときだけ症状が現れる?
気圧が上がるときも天気痛を起こす人がいる。
高気圧に向かうときは天気がよくなり、体調も整うと考えてしまいがちだが、体内では自律神経の変化が起こり、バランスが乱れて天気痛を発症する人もいる。
完治する?
天気痛はその人の体質や疾患に反応するもの。
そもそもの持病を治さない限りは完治に至らない。
天気の変化からは逃れられないため、上手に付き合い、生活になるべく支障をきたさないようにするのが天気痛の治療だ。
まとめ
いかがだっただろうか。
天気痛は、気圧変化だけでなく、気温差でも天気痛を引き起こすことがあるといわれている。
養生の考え方では、体を冷やさないことがとにかく大事。
冬はもちろん、寒暖差のある環境が多い夏も、自律神経やホルモンバランスが乱れ、天気痛の症状が悪化することがある。
冷たいものの摂取は避けるなど、なるべく体に負担をかけないように、日頃から天気に負けない体づくりをしていくことが大事なのだ。
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