錦織圭の強さの秘密とは
2015年4月のバルセロナオープンの連覇をはじめ、クレー(赤土)コートの大会で今年も抜群の成績を残している錦織圭。
今回挑戦した全仏オープンもクレーコートということもあるので、優勝候補に彼の名を挙げる海外メディアも多い。
テニスジャーナリストによると、錦織圭のコーチであるマイケル・チャンも『優勝するためのメンタル・トレーニングは終わった』と自信満々だという。
パリで2015年5月24日に開幕した、テニスの全仏オープン。
今大会で、日本人として四大大会初制覇の期待がかかる錦織圭。
そんな錦織の支えになっているのが、パリに応援に駆け付けた母・恵理さん手作りの“おにぎり”なのだという。
テニス関係者によると、錦織選手が、お母さんのおにぎりを食べて試合に臨むのは、2014年8月の全米オープン以来。
その全米では準優勝という快挙を成し遂げている。そしてそれも母の“おにぎりパワー”があったからこそなのだ。
そのため、今回の全仏でも、勝利のジンクスとしておにぎりを食べてから、コートに立っているという錦織圭。
テニス関係者によると、錦織選手は『この梅干し入りのおにぎりを食べると、不思議とプレーに粘りが出る』と話しているという。
2015年3月、錦織は、女子テニスのクルム伊達公子からも手作りおにぎりを差し入れてもらっている。
アメリカ・インディアンウェルズで開催中の大会出場を前に、錦織選手は伊達公子の元を訪ねたという。
年明けから連戦続きで症れていた錦織選手に、伊達が自らおにぎりを握って、ご馳走してくれたのだそうだ。
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母からの必勝の差し入れ“願ひ菓子”とは?
さらに、息子の全仏オープン挑戦を前に、母・恵理さんは、“願いを叶えるお菓子”をパリに持ち込んでいるという。
それは、地元松江の銘菓『願ひ菓子』という和薫子。
この『願ひ菓子』をわざわざ錦織選手に届けたのだという。
彩雲堂という地元で有名な和薫子屋さんで売っている『願ひ菓子』。
勾玉の形をした干菓子で、口に入れて溶けるまでに願いをかければその履いが叶う、という縁起のよいお菓子だ。
松江市の玉造温泉近くの玉作湯神社にある“願いを叶えてくれる”石として人気が高い『願い石』にあやかって作られたという『願ひ菓子』。
5個入りで全部味が異なり、いちご、ココア、ゆず、和三盆、抹茶の5個入りで、価格は540円。
全仏のロッカーで錦織も、『願ひ菓子』をひとつずつ頬張り次の相手に勝てますようにと願いを唱えているかもしれない。
このお菓子は、口の中で溶けるのに時間がかかるため、1つ食べる間に欲張って2つ3つ食べてしまう人もいるとか。
初戦からは、7回連続で勝てば優勝。3回戦から『願い菓子』を食べれば、5個でちょうど優勝できる計算だ。
お母さんの心が込められた。必勝の差し入れと言えるだろう。
母・恵理さんは息子の全仏オープン挑戦の応援を前に、必勝祈願のお参りにも行っていた。
恵理さんはご主人と一緒に、全仏直前の5月半ば、松江城の敷地内にある城山稲荷神社にお参りする姿が、地元の人に目撃されている。
息子の日本人初、四大大会の初制覇、そして輝かしい未来の栄光に向けて、母の思いは募るばかり。
その期待に応える結果を、錦織自身が誰よりも望んでいる。
知らない人から話しかけられると親の後ろに隠れてしまう子だった
錦織圭は島根・松江市内出身。
幼い頃は人見知りで、知らない人から話しかけられると親の後ろに隠れてしまうような子だったという。
そんな錦織とテニスの出会いは、5歳の時。テニスが趣味だった父からラケットをプレゼントされたことがキッカケだった。
近所のテニススクールに通い始めるとメキメキと頭角を現し、2001年全国大会で優勝。
当時日本テニス協会会長だった盛田正明氏(現・名誉会長=ソニー創業者・盛田昭夫氏の実弟)にその才能を見出された。
盛田氏が初めて錦織圭に会ったのは彼が11歳の時、盛田氏が設立したMMTF(盛田正明テニス・ファンド)主催の練習会だった。
盛田氏はそのときにはボールに対する感覚がいい子だなと感じていたという。
錦織圭は4期生として2003年からアメリカ・フロリダにテニス留学。
留学支援の基準は厳しく、年間目標を4~5個与えて2個以上クリアできたら翌年もサポートが受けられるが、ダメだったら即帰国というものだった。
これまで19人留学していて、プロになるまで5年間やり通したのは圭が初めてだったという。(以降、現在まで3人がプロになっている。)
現地で錦織圭を指導したハラミロヘッドコーチは、『ラケットをボールに当てる瞬間のヘッドスピードが速い。打ち方は教えられるが、瞬間の速さは教えて身につくものじゃない』と高く評価。
マイケル・チャンの功績
そうして世界へ羽ばたいた錦織は、留学中の2006年に全仏オープンジュニアのダブルスで優勝、2007年にプロ転向。ヒジのケガに悩まされながらも着々と世界ランキングを上げ続けたが、今ひとつ殻を破ることができずにいた。
しかし、2013年12月、錦織圭のコーチになった元全仏オープン王者のマイケル・チャン(42)が、錦織を一段階上のレベルに引き上げた。
四大大会で勝ち上がるには、強靱なメンタルが必要であり、技術も体力も精神力も求められる。
元プロテニスプレーヤー杉山愛氏によると、錦織選手が武器としている多彩なショットも、精度が格段に上がっているという。
特に、クロスで返されたボールをストレートでサイドライン沿いに返す『ダウンザライン』でポイントを取るシーンが目立っていました。
正しい打ち方で強いボールを正確なコースに打つことが求められる難しいショット。しかし、地道な基礎練習を繰り返してきた表れだと評価していた。
チャンの練習はキツい
マイケル・チャンの練習方法は、中学生や高校生に教えるように何万回も同じ動き、同じショットの練習を繰り返し、身につけさせるというものだ。
そのおかげで、もともと錦織が得意とするリターンも急成長を見せ、たゆまぬ反復練習で強靱なスタミナもついた。
マイケル・チャンと錦織圭との対談
100%の体調で大会に臨んでも、連戦の疲れで体力をすり減らしケガをしてしまう選手が多い中、錦織は最後まで疲労の蓄積による影響を感じさせなかった。
「ストロークは世界のトップテンに入るが、サーブが甘い」というのが共通認識だった錦織圭。
しかし、2015年現在、大事な場面でも厳しいコースに打てるようになったのは、メンタル面の成長とも無関係ではない。
錦織は、名実ともに世界のトッププレーヤーとなった。
たくさんの人に支えられて、錦織圭は進化を続けていくのだ。
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