開始1秒で土俵から吹っ飛ばされた新米力士に迫る!
細い手足に薄い胸板。どう見ても相撲をやりそうに見えない体格の相撲取り”育盛(そだちざかり)”が、いま注目を集めている。
育盛は2014年6月に式秀(しきひで)部屋に入門、7月7日に新弟子検査に合格したばかりの17歳の新米力士だ。
体重はなんと67キロの“超軽量力士”。
新弟子検査の直前に食べ物(おにぎりとうどん)と水を詰め込んで、力士の体重の基準(67キロ)をギリギリで突破したということでも話題になり、ヤフーニュースに取り上げられている。
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伝説の1秒相撲
育盛が話題になったのは2014年7月15日の名古屋場所での前相撲のことだった。
同じく新人の乙川(春日山部屋)との取り組みで、育盛は開始直後に押し倒され、黒星を喫したが、その取り組み時間が、なんとわずか1秒。
土俵下まで、まるでボールのように一瞬で吹っ飛ばされたのだった。
育盛本人はこの時の“1秒相撲”について「もろ手をいきなり食らってしまい、踏ん張ることもできず、落ちちゃいました。デビュー戦であれだけ吹っ飛べば、もうあとは怖くないんちゃうかなぁ…。」と後にコメントしている。
そのあまりに気持ちのいい負けっぷりが話題となり、現在彼を応援しようというファンが急増中なのである。
それにしてもこれほど小柄な少年が何故、規格外の巨体がうごめく角界に足を踏み入れたのだろうか。
生で大相撲を見たのがきっかけで相撲取りを目指す
育盛が相撲取りを目指そうと思った理由は「相撲が好きだから」だという。
きっかけになったのは、2012年に生で大相撲を見たときだった。
力士の迫力ある立ち姿が本当にカッコよくて、将来相撲取りになりたいと思ったのだという。なお、当時は体重が50kgしかなかったそうだ。
これからの目標は、一秒でも長く土俵で戦えるよう、頑張ること。
身体が小さくても強い先輩方はたくさんいるので、それを励みにしたいと力強く語る。
育盛のTwitter
冷や飯をどんぶりにうつしかえる私。
あとで食べることになると知らず、山盛りに。 pic.twitter.com/Y1R9tHdIKt
— 田井雅人 (@aoyama5uehon) 2014, 7月 9
舞の海・千代の富士…。軽量力士は“化ける”
相撲専門誌記者によると、舞の海や千代の富士など、軽量力士で大成した例は意外とあるのだという。
彼らの共通点は、軽量を活かした豊富な攻撃技にある。
特に舞の海は、『技のデパート』と呼び名がつくほど、数多くのワザを持ち、大きな力士を想像もできないやり方で次々と倒していった。
『技のデパート』こと舞の海の好取組集
寄り切りや押し出しといった力技を決めるのは難しいが、足技をかけたり、俊敏に相手のふところにもぐり込んで攻撃を仕掛けたりと、軽量力士には軽量力士なりの戦い方があるのである。
白鵬も、15歳で入門した当時は、体重が68キロしかなかったといわれている。
それが、『死んでるんじゃないか』と言われるほど、毎日ひたすら寝続け、わずかな起床時間はちゃんこを食べ続け、別人のような肉体を作り上げていったのだ(現在は192㎝、158kg)。
育盛はまだ17歳なので、今後の生活次第で肉体改造も大いに可能だという。
遊ぶのは嫌い、彼女もいらない
育盛の身長は174cm。近くで見ると、意外と身長は高い。
天然パーマなので、梅雨時はボリュームアップして179㎝まで高くなるのだという。
そんな育盛は今現在17歳。いわば遊びたい盛りの年頃ともいえるが、「遊ぶのはキライ」なのだという。
遊ぶより相撲をやってるほうが楽しいので、彼女もいらないという。
どんな女の子が好みという質問にも「髪の毛が黒かったら、どんな子でもいい」そうである。
序ノ口デビューを前に一番も取ることなく引退
大相撲秋場所初日の2014年9月14日、育盛が引退していたことが分かった。
式秀親方によると2014年9月に入ってから育盛は体調を崩し、大阪府内の実家に帰省していたという。
父親から「家族で話し合った結果、引退させていただきたい」との申し出があり、2014年9月13日に日本相撲協会へ引退届を提出したという。
不戦敗は記録に残るため、育盛の力士としての成績は0勝1敗となった。
意気込みが強かっただけに残念な結果に終わってしまった。
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