
目の前の人に「わたし癌なんです」と言われたら
がんは日本人の死因第一位。
2人に1人はがんで最期を迎えると言われるほど身近な病気なのだ。
しかし、もし友人や同僚から「実は癌なんです」と告白されたら、報告された側も動揺を隠せない。
聞いた直後は「何か言わなくちゃ」「励まさなきゃ」と思ってしまいがちだ。
しかし、まずは相手の話をただ聞くことが大切なのだ。
今回は、友人・知人から癌から告白された場合の正しい対応を解説する。
がんだと告白された場合の正しい対応
○ とにかく話を聞く
✕ 「どんな手術になるのか」「ステージは何か」などの病状についての質問はしないこと
シチュエーション別 おすすめフレーズ
同僚、ママ友、親族、それぞれのシーンでかけるべき言葉は違う。
しかし、基本は相手の立場になって、自分にできることは何か、具体的に提案することが大切。
親族
正解
「入院するとき、必要なことがあったら教えて」
「治療法を一緒に調べるよ」
実際、入院や手術などの際に助けとなる存在は親族だ。
ともに、治療法や名医がいる病院を調べるなど、一歩踏み込んだ手助けを提案しよう。
親族だからといって、他の親族に勝手に話して広めるのはNG。
親族とはいえ、「自分に話してくれた」という気持ちは忘れてはいけない。
打ち明けてくれた際には誰が知っているかを聞くなどして勝手に自分で広めないこと。
ママ友同士
正解
「お子さんのお迎えに行くよ」
「大変なときは預かるからね」
「夕食差し入れするよ」
「何かあったらいってね」などの漠然な言葉をかけるよりも、自分ができる具体例を示してあげた方が相手は遠慮なくお願いしやすい。
治療が長引いた場合
「一緒にランチしようね」
「ホームパーティしようね」
少し先の楽しみを提案するとよい。
大人数で遠出をするなどを大きなイベントよりもランチやホームパーティなど少人数で手軽にかなえられる予定を立てると良い。
職場
正解
「休んでいるときのことは任せてね」
「会社のこんな制度も使えるみたい」
治療に専念できるように休職中の不安を取り除いてあげる言葉をかけることが大切。
総務部に聞いて休み中に使える制度などを調べてあげるなどもおすすめだ。
治療が長引いた場合
「あなたがいないと困る」
「待ってるよ」
治療が長引くと職場に復帰できるか不安になる人も多い。
「待ってくれている」「必要とされている」という言葉を定期的にかけると安心できる。
NGワード
「がんばって」
「○○ちゃんのためにがんばれ!」
「大丈夫!!」
「きっと治るよ」
「私の親戚もこれで治ったから(民間療法をすすめる)」
もし自分が同じ立場になった場合、無神経に感じてしまうかもしれないことは言わないこと。
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がん患者が言われて一番辛い言葉は「がんばれ」
癌になった友人・知人があなたに癌を打ち明けるまでには、当然大きな葛藤があったはずだ。
まず、あなたを信頼して話してくれたことに感謝して、初めはなにもせず、ただ話を聞くだけでいい。
『治るという前提でがんになった』(幻冬舎)の著者である高山知朗さんは、40歳で脳腫瘍、42歳で白血病を発症、5年生存率は10%と言われながらも生き延びた。現在は企業のアドバイザーとして活動をしている。
高山さんが友人にがんを報告した際、いちばんつらかったのは「がんばれ」「きっと治るよ」という言葉だったという。
「がんばれ」という言葉がNGな理由として、「もうこんなに頑張っているのに、もっと頑張れと言うのか」という感情が沸いてきてしまうことが大きい。
根拠のない励ましは、がん患者にとっては空虚に胸に響いてしまうのだ。
逆に、妻のママ友からは「子供を預かってあげる」「ご飯を差し入れしようか」など、社交辞令ではなく具体的な提案をしてくれたのでお願いしやすくて助かったという。
仕事仲間の場合、「後は任せてください」が一番うれしい
癌になった場合、報告せざるをえないのが仕事関係。
とくに会社やパートなどの勤務先である。
キャリアを失うのが怖くて、癌だと会社には報告しないまま手術を受ける人も多い。
本来ならば入院や手術で今まで通り働けなくなる場合、今後の方針も含めて会社と相談する必要がある。
IT企業の経営者だった高山さんは部下に「後は任せてください」と言われて安心して治療に専念できたという。
癌になると、治療後、昔と全く変わらぬ働きをすることは難しくなる。
高山さんの場合は、15kgも痩せて、電車にのること、階段を上ることが苦しくなってしまった。
そのため、勤務時間や仕事量、今の体調で何ができるか、きちんと相談にのってあげることで、癌にかかった人も負い目を感じずに働きやすくなるのだ。
親族の場合は一緒に癌と闘う心構えを見せるのがベスト
親族から報告を受けた場合は、関係性が近いからといって、他の親族への勝手な報告は控えるべきだ。
親族の場合は、病院や治療法を調べるなど、一緒にがんと闘う心構えをしておこう。
入院時はSNSやメールよりも「直筆の手紙」が嬉しい理由
多くの人から癌について声をかけられた中で、高山さんの心にもっとも強く残ったのが友人からの直筆の手紙だったという。
入院のはじめはみんながメールをたくさんくれるものの、治療が長引くにつれて少なくなる。
しかし、季節ごとに直筆の手紙を送ってくれる人はとても嬉しかったという。
LINEやFacebookなどのSNSやメールだと、返信しなければという負担を強いてしまうが、手紙だとそういうことも無いのでその距離感が心地よいと思ってくれるのだ。
主観的に考えず、相手の立場に立ってかける言葉や方法を選ぶことが大切なのだ。
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