なぜ死ねと思ったのか
30代の女性による匿名ブログの記事の一本が、とてつもない話題を呼んだ。
自分の子どもが保育園に落ちたことを綴った「保育園落ちた日本しね」だ。
ブログ記事に共感した母親らが待機児童解消を求める署名を27,000以上も集め塩崎厚生労働相に提出するなど、騒動はどんどん大きくなっていった。
ついには国会で安倍首相が「待機児童ゼロを必ず実現させる」と発言したほどだ。
今回の騒動を見た人の中には「保育園ってそもそも落ちるもんなの?」「なんでそんなに必死なの?」と思った人も多いと思う。
そこで、今回は「日本死ね」という感情が生まれるに至った保育園の現状を解説する。
都内の保育園が混む理由
まず、大前提として保育園が絶望的に混んでいるのは主に東京都内の現象だ。
なぜ都内の保育園がそんなに混むのかというと、
↓
夫婦共働きになる
↓
保育園に預けざるを得なくなる
↓
みんな同じことを考えているので混む
ということだ。
どうしても保育園に入れたければ都内から出て行けば解決する問題なのだ。
さらに、せっかく預けるならということで、国が定めた基準をクリアしている安価で安全な「認可保育所」に集中するのでより入れなくなっている。
ここが都内在住のママたちと都内以外のママたちの間で温度差を生む原因になっている。
「オマエが好き好んで都内住んでるからじゃん…。」
と思う人もいるかもしれない。
しかし、そう簡単に引っ越しができるものではないのはみんな同じだ。
ぜひ人ごとだと思わずに読み進めてもらいたい。
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都内の保活は超絶難易度
2016年現在、都内で子どもを保育園に入れるには相当なテクニックと運が必要だ。
特に都内の認可保育園にいる子どもたちの親は、全員が子育てのエキスパートといってもいい。
おもに入園には、区役所の職員の“コネ”と保育の必要度を数値で示した“基本指数”が必要になってくる。
区役所の職員とのコネの作り方
都内で認可保育園を狙う場合は、妊娠判明から1ヶ月後くらいから区役所詣をし、保育園関連部署の職員との人間関係を築いていく必要がある。
なぜ人間関係を築く必要があるかというと、希望する保育園に入れなさそう、という場合に区役所職員が裏ワザを駆使してくれることがあるからだ。
この裏ワザは区の特殊なルールを利用したもので若干際どいため、担当職員との信頼関係が絶対に必要なのだ。
しかし、いきなり保育園関連部署に行けばいいということではない。
保育園部署は時期によっては非常に多忙なので、ぞんざいに扱われることがある。
多忙な時期に行っても逆効果なのだ。
12月中旬は翌年4月入園の申請が終わった直後でヒマになるので、そのような時期を狙う。
12月中旬を狙うために、わざわざ11月上旬に子どもを仕込むという親もいるほどだという。
区役所ではその部署の中でも信頼の置かれている雰囲気を醸し出す職員に顔を覚えてもらうのがコツだ。
相談のたびにその職員を指名し、関係を築いていく。
出産したらその職員に子どもを見せに行くとよい。
関係を築いていく中で、裏ワザを使ってもらえるチャンスがくるに違いない。
しかし、裏ワザを使ってもらえるのは、下記の“基本指数”を満たす努力をした場合のみだ。
“基本指数”は20点満点中20点が大前提
保育園では、主に“基本指数”をもとに審査が行われている。
基本指数とは、簡単に言うと“子供の保育の必要度”だ。
両親の就労状況でベースとなる得点が決まり、高いほど希望する保育園に入りやすくなるのだ。
点数の算出は、『居宅外労働』と『居宅内労働』によって変わる。
『居宅外労働』は、サラリーマンのことをいう。
月20日以上の勤務で1日8時間以上の就労をしていると、最高点である10点※を獲得できる。
『居宅内労働』はフリーランスや内職。
こちらは一日8時間以上の就労で最高9点。
フリーランスで在宅の仕事の場合、最高点は夫婦合わせて20点満点中19点。
かなり高得点だが、このたった1点の差が非常に大きい。
エリアによっては20点満点でないと土俵にも上がれない状態になっているのだ。
20点満点を獲得した夫婦の半致ぐらいが第一志望の認可保育園の入園審査に落ちるケースもある。
自宅作業を行うフリーランスの場合でも、自宅から3分の距離であっても仕事部屋を借りてあれば10点※取れるため、在宅業務のフリーランスの父親を持つ夫婦で子どもを認可保育園に入れたければ、別途部屋を借りるのはほぼ必須となる。
もしポイントが足りない場合どうしたらいいのか。
まずはポイントが少ない地域への引っ越しが考えられるだろう。
偽装離婚、偽装別居をしてポイント以外の優遇要素を積み重ねることを考える人もいるという。
ここまでやって、ようやく認可保育園に入れる
妻が安定期に入るのを見計らって、夫婦でエリア内の保育園見学をスタートする。
一般的には自宅から近いところの認可保育園を選ぶが、なるべく多くの園を回り、第二希望、第三希望まで決めておく。
出産後は、子供を連れて区役所詣を再開。
区役所の担当職員さんに子供の名前と姿をしっかり覚えてもらうためだ。
そして、裏技を仕込みつつ、入園申請書類も作成。
そして無事、第一志望の保育園にわが子を入園させることに成功となる。
都内で認可保育園に入れるとなった場合、普通に働いて、普通に税全を納めているにも関わらず、これだけの苦労をしないといけないのだ。
都内住みのリスクで片付けてしまうには、あまりにも残酷だろう。
マスオさんになれれば最高
この保育園問題を解決するにはどうしたらいいのか。
一番いいのは、夫が“マスオさん”になることだ。
サザエさんの旦那のように嫁の実家に入り込み、育児は義父・義母に任せる。
義父・義母はいわば最高の保育所。
保活知らずの優雅な結婚生活をエンジョイできる可能性がある。
まずは週に一回だけ嫁の実家で一緒に暮らす、週末マスオさん生活を続けるなどのテスト期間を設ければスムーズに同居できる可能性もある。
もしあなたが都内在住で、パートナーがいて、子どもを作ろうと考えている場合は、今一度、慎重に計画を立てる必要があるだろう。
※区によって算出方法が異なるため、一例。
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