「お墓の引っ越し」について知っておくべきこと
あなたは1年の間に何回お墓参りに行くだろうか?
遠方でめったに行けなかったり、墓参りの旅費が馬鹿にならなかったりと、お墓参りがすっかりご無沙汰になっているのであれば、“お墓の引っ越し”を検討してみるのも手だ。
今回は、興味はあるけどハードルが高いと思われている、お墓の引っ越し(改葬)を徹底解説!
お墓をスムーズに移転して、ご先祖さまをもっと身近に供養してみてはいかがだろうか。
2007年前後から増加しているお墓の引っ越し件数
厚生労働省の調べによると、2004年度までは全国で7万骨前後だったお墓の引っ越し(改葬)が翌年には約9万6000件まで増加している。
年度によって変動はあるものの、お墓の引っ越しは増加傾向にあるのだ。
大きな理由として、団塊世代が2007年前後に定年退職を迎えたことがあげられる。
時間的にも金銭的にも余裕ができ、さらに体力があるうちに改葬を実行する人が増えてきたということだ。
世間的にお墓の引っ越しが認知されつつあることも、改葬が増えている理由のひとつだ。
それでは早速、お墓探しから最後の納骨まで、覚えておきたい流れやポイントを解説しよう。
この記事を上から順に読んでいただくだけで、お墓の引っ越しに関しての知識が付くようになっている。
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あなたのしたい「お墓の引っ越し」はどのタイプか
まず、「お墓の引っ越し」といっても、いくつかのケースに分かれる。あなた自身に当てはまる「お墓の引っ越し」がどのケースなのかを決定しよう。
1. 遺骨と石碑をまるごと移動したい
場所を移動するだけで、お墓の姿は以前のままというケース。
それまでの墓地は撤去後に更地に戻して墓地管理者に返還する。既存の石碑を持ち込めない墓地もあるので、事前に確認が必要。
霊園の景観に統一感を持たせるために、古めかしい墓石を移転できない墓地もある。
また、墓石のサイズに規定を設けている墓地では既存の墓石の寸法が合わない場合もある。石碑を移動させたい場合は、条件に合う墓地を探す必要がある。
2. 遺骨だけをすべて移動したい
納骨してあるすべての遺骨を移転し、墓石を新しく建て替えるケース。
お墓の移転の約6割を占める一番多いケースだ。遠方に引っ越す際の輸送費などを考慮すると、タイプ1と費用が変わらない場合もある。
3. たくさんある遺骨の一部だけを移動したい
「両親と祖父母の遺骨だけ近くのお墓に移したい」など、特定の遺骨だけを移すケースだ。
移転先では新しい墓石を設置する。改葬手続きは移転する遺骨の分だけ行う。
4. 骨壷の中から遺骨の一部だけを移動したい
既存の墓地から遺骨の一部を取って移転する方法は「分骨」とも呼ばれている。
墓地の管理者や火葬場で分骨証明書を発行してもらうだけで、役場の手続きは必要ない。
「お墓の引っ越し」に関する疑問点を解消
続いて、お墓を引っ越しする際に発生する疑問点と解決策について予め把握しておこう。
お墓の引っ越しをしたい場合はまずどこに相談するの?
お墓の引っ越しといっても、もちろんそのような引っ越しセンター的なものがあるわけではない。
まず具体的には、「埋蔵証明書」を発行してもらうために現在の墓地管理者に申し出ることと、親戚に事情を説明することが必要だ。
実質的には、既存のお墓の石材店、または移転先の石材店に相談するのがいいだろう。
改葬の流れや手続き、墓地管理者ヘの話の仕方といったアドバイスをもらえることが多いので、スムーズなお墓の引っ越しにつながる。
既存のお墓から円満に離檀する方法を教えて!
お墓の引っ越しのためには、手続きのうえでも既存の墓地の管理者(お寺)の協力が不可欠だ。
そもそもお寺との関係が十分築かれている場合は、早い段階で改葬の相談をするのがベター。
真摯な態度で、あまり墓参りができなかったお詫びやこれまでのお世話へのお礼を述べて、移転の事情を伝えれば円満な離檀が望めるだろう。
世代代わりや、遠方などの理由でお寺との付き合いが疎遠になっている場合は、まずはお墓参りの時に、住職にいままでの不義理を詫びるとともにご挨拶をするなど、いい関係を築くところから始めるのが得策だ。
気になる改葬費用はどれくらいになる?
お墓の引っ越し費用は、引っ越し方法や移転場所、移動距離などによって異なる。
必要な費用は、既存のお墓の撤去費用、石碑を移動する場合はその運搬費用、新しいお墓の永代使用料、新しいお墓の工事代金がある。
さらには宗教儀式や納骨料、新しいお墓の管理者への事務手数料なども発生する。
改葬費内訳の一例
既存のお墓の撤去費用 | 270,000円 |
---|---|
石碑の運搬費用 | 120,000円 |
新しいお墓の永代使用料 | 666,000円 |
新しいお墓の工事代金 | 945,000円 |
その他 | 436,000円 |
総額 | 2,437,000円(税抜き) |
※新潟県新潟市の共同墓地から東京都八王子市の八王子メモリアルパークに石碑持ち込みで改葬した場合
※メモリアルアートの大野屋調べ
いままでの墓地を使わなくなった場合、墓地の管理者が規定する親族以外に譲渡はできない。売買も不可。お墓の土地は永代使用権で借りている状態なので、お墓が不要になった場合は、原状回復して土地を返却するのが基本だ。
お墓の引っ越し(改葬)の具体的な流れ
それではお墓の引っ越しについて具体的な手順を説明していこう。
1. 新しいお墓を探す
お墓の引っ越しが決まったら、まずは引っ越し先を探すことになる。
立地や墓地のスタイルといった希望をはじめ、先祖代々の墓石を持ち込めるか、すべての遺骨が納まるか、宗教的な制限はあるのかなど、条件がある場合は細かな部分も確認するとよい。
新しいお墓が決まったら、墓地管理者から「墓地使用許可証」または「受入証明書」を受け取る。
2. 引越し方法やお墓のデザインを決定し契約
石碑をまるごと移すのか、遺骨だけを移動するのかなど、具体的な引越し方法を決める。
新たに建てる場合は墓石のデザインや石の種類、文字彫刻などを決定した上で正式に契約する。
新しいお墓の完成には通常約3ヶ月かかるといわれている。
スムーズに納骨が完了するように、納骨予定時期からさかのぼって契約するといいだろう。
3. 必要な書類を取り寄せて手続きを
申請書は自治体ごとに書類が異なるため、必ず既存のお墓のある役場から「改葬許可申請書」を取り寄せる必要がある。
また、既存の墓地管理者から「埋蔵証明書」または「収蔵証明書(納骨堂の場合)」を発行してもらい、「改葬許可申請書」に署名捺印をもらう。
その後、既存墓地のある市町村役場に「改葬許可申請書」、「埋蔵証明書」、「墓地使用許可証」(または「受入証明書」)を提出し、「改葬許可証」を発行してもらう。
申請書類の取り寄せや提出は、お墓のある市町村役場での手続きが必要になる。事前に書類の申請に必要なことを確認しておくとよい。
4. 遺骨を取り出して安置する
遺骨を取り出す際には「閉眼式」「魂抜き」などと呼ばれる宗教儀式を行う。
菩提寺の住職に墓前で読経してもらうケースが最も多いケースで一般的だが、宗教や宗派によって儀式が異なる。
取り出した遺骨は骨壷が割れたりしないように風呂敷などで包んで運ぶ。
新しいお墓ができるまでは自宅の仏間や引っ越し先の墓地などに安置する。
遺骨は、基本的に既存の墓地から安置する場所まで自力で運搬する必要がある。遺骨の入ったツボなどを風呂敷などでしっかりと包み、車や公共の交通機関を使って運ぶ。その際、改葬許可証は必ず携帯するようにしたい。尚、遺骨の数が多い場合や移動距離が長い場合など自力での運搬が難しい場合は遺骨の移送まで引き受けてくれる石材店もあるので頼んでみるとよい。
5. 新しいお墓が完成
石碑の移動や据え付けなどの工事が完了した後は墓石の引き渡しをする。その後、墓前で「魂入れ」「建碑式」「奥津城開き」といった宗教・宗派にのっとった儀式を行ってから遺骨を納品する。
納骨時には「改葬許可証」と「墓地使用許可証」が必要だ。
おすすめのお引越し先はどこ?
メモリアルアートの大野屋による「お墓の引っ越し意識調査」によると、お墓の移転をする理由の77.9%が「お墓が遠くて管理が大変」というものだ。
しかし、都心に住んでいる場合、同じく都心でお墓を購入しようとしたときに、高くて手が出せないという現状がある。
そのため、都心からほど近い場所で運営されている「納骨堂」が現在移転先として大人気なのだ。
納骨堂は室内で管理されており安全で、夜間のお墓参りにも対応できるというメリットがある。
最後に都心で評判の高い納骨堂をご紹介するので、ぜひ検討してもらいたい。
新宿の四谷にある納骨堂「東福院」
430年の歴史を持つ四谷「東福院」が運営している直接参拝式の納骨堂だ。
30万円から390万円まで、1人用から9人用まで、さまざまなタイプの永代供養墓、永代使用墓を取り揃えている。
場所は四ッ谷駅・四谷3丁目駅、徒歩7分に位置し、3駅5路線が利用できる。駅からも近く格好のロケーションだ。
四谷「東福院」の詳細はこちらから
お仏壇のはせがわが運営する「赤坂浄苑」
お仏壇のはせがわが運営している「伝燈院 赤坂浄苑」。
参拝スペースにある、カードリーダーにカードをかざすと1分ほどで「○○家」と刻まれた墓石が現れるという最新の設備を導入している。
東京メトロ「赤坂見附」駅から徒歩2分という近さと、夜9時まで参拝可能という利便性が魅力だ。
お墓の引越し先として選ばれることも多いようで、相談にのってくれるのもありがたい。
「伝燈院 赤坂浄苑」の詳細はこちらから
いかがだっただろうか。
年々増加傾向にあるというお墓の移転。まずは安心して引越し先に相談してみることから始めてみることをおすすめする。
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