TBS「ビビット」で「曜変天目(ようへんてんもく)茶碗」が中国の陶芸家の手作りだったことが判明した。
残念ながら、史上4つ目となる曜変天目茶碗とはならなかった。
その点を踏まえて、以下の記事はご覧いただきたい。
ついに発見された“4つめの曜変天目茶碗”はなぜスゴいのか
2016年12月20日(火)放送のテレビ東京系バラエティ番組『開運!なんでも鑑定団』で、史上4つ目となる曜変天目茶碗が登場した。
鑑定額は驚愕の2,500万円だった。
いい仕事してますね~でおなじみの中島誠之助先生も「なんでも鑑定団史上最大の発見」と言わしめた奇跡の品だ。
戦国武将・三好長慶の子孫の屋敷の移築を請け負った際に購入した大量の骨董の中に入っていたものだという。
果たして、この4つ目となる曜変天目茶碗の一体何がスゴいのだろうか?
茶碗の中に深遠な宇宙を再現したような美しい紋様
曜変天目茶碗(ようへん てんもく ちゃわん)は約800年前に中国の福建省で作られたといわれる、世界の陶芸史上最も美しく、そして最大の謎に包まれた幻の茶碗だ。
2016年に『開運!なんでも鑑定団』で4つめが発見されるまで、現存するのは世界に3点しかなく、そのすべてが日本において国宝に指定されている。
全ての茶器、茶道具の中でも恐らく最高値の逸品とされており、実際に曜変天目茶碗のひとつが大正7年に売買された時の価格は16万8千円。
当時の1円を現代の1万円で換算するとなんとその額は16億8千万円だ。
茶碗一個で16億8千万円。
この価格だけでも、いかにスゴい茶碗だということが分かってもらえるだろう。
今回の中島誠之助先生の鑑定額は2,500万円だが、国宝認定されれば間違いなく価値は大きく跳ね上がるだろう。
宇宙に浮かぶ星のような紋様の作り方は未だ謎
曜変天目茶碗の「曜変」は、もともと陶磁器を焼く際に窯の中で予期しない色に変わる「窯変」という言葉が当てられていた。
しかし、この茶碗の特徴である「星」や「輝く」という意味の「曜」の字が代わりに用いられるようになったといわれている。
一方「天目」とは、鎌倉時代に中国へ渡った禅宗の僧侶たちが陶器を天目山から持ち帰ったことが語源。
黒いうわ薬のかかった茶碗を一般的に「天目」と呼んでいるのだ。
そして、この曜変天目茶碗が希少である最大の理由は、その紋様の制作方法が全くの謎であるということだ。
偶然作り出されたものではないかとも噂されるほど、再現することは不可能。
800年間、誰も再現できなかった「世界の至宝」なのだ。
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4点目の曜変天目茶碗は「微妙」なものだった
今回4点目の曜変天目茶碗が発見されるまで、『曜変天目茶碗』として大々的に認められているのは静嘉堂文庫美術館蔵、藤田美術館蔵、大徳寺龍光院蔵の3点だけだった。
しかし、過去にも4つ目の曜変天目茶碗として議論になった茶碗があった。
そのうち1つ目は、2009年末に中国浙江省の杭州市内の工事現場から発見された曜変天目茶碗。
宇宙に散らばる星のような美しい紋様、そして宮廷用に献上されたことをうかがわせる言葉が刻まれた陶磁器も一緒に発見されていることから、まごうことなき曜変天目茶碗だった。
しかし、工事現場に重機が入って作業をしたため割れた状態で破片が発見され、形を失っていたため4つめとはならなかった。
もう1つは現在、滋賀県甲賀市信楽町にあるMIHO MUSEUMに所蔵されている茶碗。
曜変天目ではなく油滴天目ではないかという議論があり、国宝には指定されておらず、重要文化財となっている。
2001年、曜変天目の再現した日本人、林恭助さん
上で曜変天目茶碗の制作方法は全くの謎と書いたが、2001年に曜変天目の再現に成功した人物が日本にいる。
人間国宝・加藤孝造さんに師事し、数々の賞を受賞する注目の陶芸作家である林恭助さんだ。
林さんは、現代技術を駆使した独自の製法により2001年遂に曜変天目の再現に成功。
日本陶芸界のみならず、岐阜県知事表彰を受けるなど、発表当時広く評価された。
作品は曜変の生まれ故郷である中国・故宮博物院に収蔵された。
2016年4月にも日本橋三越本店で「黄・瑠璃- 林恭助展」と題して、自作の曜変天目茶碗の展示会を行っている。
しかし、曜変天目茶碗の紋様を「再現」できたが、意図的に作り出す方法はまだ解明できていないのだ。
意図的に作り出せるものなのか、偶然が織り成す美しさなのかは、いまだにわからない。
しかし、深遠な宇宙を茶碗の中に表現した曜変天目茶碗の紋様と世界観は、800年後の現在でも人々を魅了しているのだ。
今回史上4つ目となる曜変天目茶碗が登場したことで、研究がより進むことを期待してならない。
「曜変天目茶碗」 宮尾登美子さん
幻の名碗 曜変天目に挑む
4つ目となる宗代建盞の曜変天目は4碗は発見されました。(2019年)
七彩曜変天目が二つ、曜変天目が1つ、曜変禾目天目が1つが94年間空けなかった倉庫から出てきました。
これを世界的に有名な中国陶磁器専門鑑定士が確認しました。