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小悪魔agehaはなぜ廃刊に追い込まれたか―違法行為で資金繰りを支えていた男の影

小悪魔agehaはなぜ廃刊に追い込まれたか―違法行為で資金繰りを支えていた男の影

小悪魔agehaは何故潰れたか
「小悪魔ageha」や「Samurai magazine」などを出版していたインフォレストが、2014年4月15日付けで倒産した。

インフォレスト
2014年4月15日負債総額30億円にて事業を停止したインフォレスト。
今後は、出版物等のコンテンツ売却を進める方針だという。

帝国データバンクによると、倒産の原因は雑誌売り上げの頭打ち、景気低迷下で広告収入の減少などで資金繰りが悪化したことだという。負債額は30億円だ。

取引会社などに対する未払いが発生し、印刷会社が取引を縮小、先行きに懸念が広がっていたインフォレストだったが、2014年4月7日月曜には約束手形の決済を延期し、経営危機情報が一気に広がってしまう。

現在は弁護士が債権者に連絡をとり、債権額を確認する作業に入っているという。

今回は、「小悪魔ageha」など人気雑誌でカルチャーを牽引していた同社が何故倒産にまで追い込まれたのかについて解説する。

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雑誌制作が突然ストップ、出社停止・自宅待機指示

インフォレストはギャル系ファッション誌「小悪魔ageha」やメンズ誌「Samurai magazine」、クリエイターが買ったものを紹介する「i bought」、コスプレ専門誌「COSMODE」などを発行していた。

現在はデザイナー、ライターなど外部スタッフに対する支払いがほとんど滞っており、スタジオ代や、機材のリース会社にも支払いをしていないと見られている。

2014年4月17日に6月号が発売予定だったギャル雑誌『ハピーナッツ』は、突然発売を中止。次号の制作もストップ。ほかの雑誌も、2014年4月11日ごろには編集部員に出社停止、自宅待機の指示が出たという。

編集部はいま、誰もいなくて幽霊屋敷のようになっており、雑誌によっては入稿の真っ最中に連絡が入って、そのまま全員帰宅という状態だったという。

編集部員は、「この苦労は何だったんだよ」と憤っていたという。

27歳のカリスマ編集長・中條寿子氏がぶち当てた『小悪魔ageha』

インフォレストの名前を有名にしたのは、『小悪魔アゲハ』の成功だ。

同社の女性誌『ハピーナッツ』の増刊として2005年に創刊した同誌だが、当時27歳のカリスマ編集長・中條寿子氏の手腕によって、みるみる部数を拡大していった。

中條 寿子(なかじょう ひさこ)氏は2005年に創刊したインフォレストのファッション雑誌『小悪魔ageha』の生みの親だ。
中條 寿子(なかじょう ひさこ)氏は2005年に創刊したインフォレストのファッション雑誌『小悪魔ageha』の生みの親だ。

まつげエクステ、カラーコンタクト、盛り髪などの特徴的なヘアメイクは「キャバクラ嬢のバイブル」となり、ネット上でも大きな話題となった。

『小悪魔ageha』が大進撃―2008年に40万部を突破

『小悪魔ageha』の発行部数は拡大していき、最盛期の2008年には40万部を発行、30万部以上を売り上げた。

登場するモデルは「ageモ」、「age嬢」などと呼ばれ、芸能人になった女性も登場。

ここからさらに『姉アゲハ』『着物アゲハ』『I LOVE mama』などの雑誌やムックが派生し、『アゲハ』ブランドを確立していった。

『小悪魔ageha』成功で投資ファンドが動く

この成功に目をつけた複数の投資ファンドや実業家が、インフォレストを投資対象にしはじめる。

村上世彰氏率いる村上ファンド系列の『セブンシーズホールディングス』が一時、インフォレストの親会社になっていた時期もある。

2008年には村上ファンドの中核会社『レノ』が、インフォレストの本社不動産を担保に3億円を融資している。

ここ数年は、キヤノン電子傘下で通販工房という会社を経営していた大城龍也氏が、6億5000万円を用意してインフォレスト買収に動いたり、同社が振り出した1億2000万円の約束手形を裏書していた。

そして、後にこの大城龍也氏が、インフォレスト倒産の直接の原因になる。

カリスマ編集長が退社し『小悪魔ageha』部数が減少、資金繰り悪化

『小悪魔ageha』の売上を牽引してきてきたカリスマ編集長の中條寿子氏が2011年に退社すると、『小悪魔ageha』の部数は徐々に減り始める。

直近では、2014年3月号が13万部発行、売上率40%で実売5万部。最盛期30万分の6分の1に低迷し、資金繰りが悪化していた。

インフォレストの資金繰りを支えていた大城龍也氏の会社が破産

資金繰りが悪化していたインフォレストを支えていたのは通販工房の大城龍也氏だ。

大城龍也氏は独断で会社名義による債務保証や、インフォレストが振り出した多くの手形の裏書を行うなど、違法行為で資金繰りを支えていた。

しかし、もともと債務超過に陥っていた業績に加え、通販工房を保証人にして不正な借り入れをしていたことなどが発覚し事業継続は困難と判断。

大城龍也氏が2014年3月に同社の役員を解任されたため、インフォレストの資金繰りを支えることができなくなり、結果的に資金がショートすることになったのだ。

通販工房の負債総額は約24億円の見通しで、そのうち違法行為による負債額は約12億円の見通しと見られ、同社は現在、3月20日付で東京地方裁判所より破産手続の開始決定を受けている。

多くのキャバクラ嬢の「教科書」であった『小悪魔ageha』だが、実態としては部数が振るわず、運転資金の援助無くしてはすでに発行できないという実態があったのだ。

『小悪魔ageha』からデビューした有名人たちやファンが存続を希望する中、インフォレストの再スタートは絶望的な状況だ。

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