ついに100人を超えた国内感染者
東京・代々木公園を発生地としたデング熱。
都庁は蚊の駆除対策に必死だが、新宿中央公園や、外濠(そとぼり)公園(千代田区)など感染地とみられる場所も増え、2014年9月9日には千葉市稲毛区で蚊に刺されたとみられる60代の男性の感染が確認された。
2014年9月9日までの感染者数は86人だったが、10日、新たに10人が確認。さらに、11日には感染者は100人を超え、15都道府県の計103人となった。
もうすでにデング熱は全国に拡大しているのだ。
今回は、デング熱“越冬”の最悪のシナリオと、私たちができる防衛策をご紹介する。
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国内に無数にいる“ヤブ蚊”ヒトスジシマカ
デングウイルスは、ヒトからヒトへ直接感染はせず、必ず蚊を媒介としている。
感染すると通常3〜7日程度の潜伏期間を経て高熱や頭痛、目の奥の痛み、筋肉痛や関節痛を発症する。
デングウイルスを媒介するのは、ヒトスジシマカとネッタイシマカだ。
そのうち、ヒトスジシマカは、いわゆる「ヤブ蚊」と呼ばれるものだ。
空き缶などに溜まった水でも発生するため、実は都会で大量に発生する蚊だ。
青森を北限として日本列島に広く分布しており、国内に無数にいるので、関東だけでなく、西日本や九州でいつパンデミック(感染爆発)が起きても不思議ではないのだ。
毎日のように感染者数が増えている現状や、感染しても無症状の人がいることから、すでに数百人のレベルにまで感染が拡がっている可能性も拭えない。
ヒトスジシマカは臭気、体温、二酸化炭素に反応するだけでなく、黒っぽい色の物体を好んで刺す習性がある。
昼夜を問わず、24時間人を刺すので、その習性も感染拡大につながっている。
日本国内で20万人に感染した過去―日本にはデング熱が蔓延する土壌がある
太平洋戦争開戦直後には、日本国内で約20万人が感染するほどのパンデミックが起きていた過去がある。
元々、日本にはデング熱が蔓延する土壌があることを私たちは知っておく必要があるだろう。
大阪、神戸、呉、佐世保などで1000人規模のパンデミックが起きていたデーターもあり、西日本や九州で、本格的にデングウイルスが蔓延するのも時間の問題だ。
現実に、大阪でも代々木公園で刺された3名の感染が確認され、愛媛、山口にも感染者は拡がっている。
都内で発生したデング熱は確実に西日本に広まっているのだ。
沖縄に上陸すると越冬―デング熱パンデミック最悪のシナリオ
最も危惧されるのは、デングウイルスが沖縄に上陸することだ。
本州に存在するヒトスジシマカは、気温の低下で10月下旬頃には死滅する。
しかし、沖縄は亜熱帯に位置するため、蚊が媒介するウイルスとともに越年し、感染を拡げる可能性があるからだ。
また、全国から観光客が訪れる場所だから、ウイルスが津々浦々に蔓延するきっかけにもなりかねない。
「蚊に刺されないようにする」方法は?
東京都や神奈川県では、一部の公園で蚊の調査や駆除を行っているが、個人レベルでは蚊に刺されないように気を付けるしか感染を防ぐ有効な手立てはない。
まず、大前提として、蚊の多い場所での活動を避ける。
また、やむを得ないときは、肌の露出を避け、明るい色の服を身につける。
暗い色の服や、甘い匂いがする香水、飲み物などを持ち歩かない。
虫除けスプレーやクリームも有効だが、皮膚に塗った量の10〜15%が体内に吸収されるため、幼児などには塗りすぎないように注意する。
また、虫除けスプレーやクリームの効果を切らさないために、2時間おきにこまめに塗ることが大事だ(幼児は、1日2回までに抑える)。
また、日焼け止めを使う場合は、日焼け止めを塗ってから虫除け剤を塗らないと、効果が弱まってしまうので注意しよう。
重症化すると「デング出血熱」に
感染しても半分近くの人には症状がでないとされている「デング熱」。
しかし、重症化するとデング出血熱などのデングショック症候群を起こし、死に至るケースもある。
この重症化するケースとそうでないケースは何が違うのかというと、刺した蚊が持っているウイルスの量や、刺された人の免疫力で差が出る。
乳幼児やお年寄り、免疫力が低い人に加え、過去にデングウイルスに感染した人が再感染すると、抗体の関係でショック症状を起こすという学説もあるのだ。
すでに全国に広がっているデング熱。私たちが自衛の意識を持つことが大事なのだ。
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