ピザポテトはいつまで食えないのか
じゃがいも不足でポテトチップスが販売休止になった。
みんな大好きポテトチップスが最短でも初夏までおあずけになる模様だ。
カルビーでは2017年4月12日をもって、「ピザポテト」全サイズの販売休止を発表。
湖池屋などポテトチップスで人気のブランドも次々と販売休止を決定している。
カルビーは、2016年の台風の影響により北海道でじゃがいもの収穫が当初の計画よりも下回り、注文数をまかなえくなったことを説明。
カルビーの原材料に使っているじゃがいもは、約7割が北海道産で、収穫時期は9〜10月の年一回。
つまり、販売再開は次の秋まで様子見となる。
しかし、2017年5月からは九州、四国でじゃがいもの収穫を行い、生産量によっては早めに再開できる可能性もあるという。
最速でも、2017年6月〜7月くらいまで、ポテトチップスはお預けの見込みだ。
ポテトチップスの賞味期間はだいたい4ヶ月間なので、カルビーのポテトチップスが7月まで待てない人は、見つけ次第買い溜めしておいてもいいだろう。
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じゃがいもを輸入してポテトチップスを作れない理由
今回のニュースを受けて、じゃがいもを輸入してピザポテトを量産してよ!と思った人も多いと思う。
しかし、ポテトチップスの原料になる生のじゃがいもを輸入することは、そもそも国により規制されているのだ。
そのため、外国産のじゃがいもでポテトチップスを作ることは原則できないことになっている。
もし、じゃがいもを海外から輸入できたとしても、一般的に生食用のじゃがいもは糖分が多く、ポテトチップスにすると焦げてしまって色上がりが悪くなるので、そもそも商品にならないのだという。
カルビーなど日本のメーカーが基準としているポテトチップスの品質規格は、非常にハイレベルなのだ。
いったい北海道で何があったのか―台風10号の爪痕
ピザポテトを完全供給不能になるレベルで北海道のじゃがいもを壊滅させた台風10号とはいったい何だったのだろう。
2016年に発生した台風10号は、日本の南の海上で非常に複雑な動きをした台風だ。
まるで意志でも持っていたかのような不気味な動きをしたので、記憶にある方も多いかもしれない。
台風10号はそのあと、気象庁が統計を取り始めて以来、初めて東北地方の太平洋側に上陸。
そのまま日本列島を横断して日本海側に抜けるかと思いきや、朝鮮半島付近に発達した寒冷低気圧が日本海側に居座ったため、特大の台風が東北地方に長期間留まることとなり、岩手県と北海道を中心として、甚大な被害を出したのだ。
北海道を襲った台風10号の爪痕
岩手県では岩泉町を中心に死者20名、行方不明者3名、北海道では死者3名、行方不明者2名。
北海道ではインフラ被害と農業被害が非常に大きく、被害額は2787億円と過去最悪を記録した。
特に、北海道十勝地方の被害が甚大だった。
十勝地方は、じゃがいもの生産量が日本全国の約3割を占めている。
そのほかにも国内で大きなシェアを占める作物が生産される大農業地帯であり、その広さは、日本の畑の12%を占めるほどだ。
台風10号はそんな広大な十勝エリアに流れる札内川で氾濫、空知川でも堤防を決壊させるほどの甚大な被害をもたらした。
農地や牧場、生産施設が大きな被害を受けたほか、道路や鉄道が寸断され、十勝地方全体が孤立してしまうほど危機的な状況だったのである。
北海道のじゃがいもを壊滅させた4つの台風
実は、台風10号だけが壊滅的な被害をもたらしたわけではない。
2016年8月17日から23日のわずか一週間で台風7号(8月17日上陸)・11号(8月21日上陸)・9号(8月23日上陸)の3つが北海道に上陸しており、すでに大きな被害をもたらしていた。
その一週間後、8月31日から台風10号の影響で農業・交通網に甚大な被害をもたらしたのだ。
農作物の価格高騰・生産中止の影響が全国に広がり、2016年9月の時点でも、カルビーは季節商品のポテトチップス「ア・ラ・ポテト」の発売を延期し、山芳製菓はポテトチップス「わさビーフ」を減産する決定をしていた。
じゃがいもはそう簡単に育たない
じゃがいもの秋植えは一般的に8月下旬~9月上旬。
種イモを植えておくと、その年の11月~12月頃には収穫できる。
期間としては収穫までに2〜3ヶ月だ。
しかし、広大な地域の畑に被害をもたらした台風10号の爪痕はそうたやすく消すことはできず、昨年の秋の収穫量は当初の計画を下回ったのだ。
全国に安定してじゃがいもを供給出来るようになるには、もうしばらくはかかるのだ。
つまり、カルビーのおいしい「ピザポテト」がまたいつでも食べられるようになるには、2017年の秋のじゃがいも収穫時期以降になるだろう。
しかし、2017年も北海道を台風が襲う可能性もある。
農家の人たちが、厳しい自然と向き合っておいしいじゃがいもや作物を作ってくれていることに心の底から感謝だ。
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