
「現代のベートーベン」に突如ゴーストライター疑惑
聴力を失った作曲家であり、「現代のベートーベン」と呼ばれる佐村河内 守(さむらごうち・まもる)さん(50)の楽曲は別人が制作していたことが明らかになった。
十数年前から佐村河内さんは別の作曲家にイメージなどを伝え、曲にしてもらっていた。
具体的には、佐村河内さんが提案した楽曲構成やイメージをその人物に提案して具現化してもらっていたのだという。
佐村河内守を襲ったのは後発性の聴覚障害
クラシック作品の中で最も困難とされる交響曲「交響曲第1番“HIROSHIMA”」を書き上げたとされている佐村河内守さんは、19歳の頃から原因不明の偏頭痛に悩まされ、20代で左耳が完全に聞こえなくなったといわれている。
NHKスペシャルのディレクター古賀淳也さんによると、激しい耳鳴りや偏頭痛に苦しみながらも作品を生み出し続けていたと大量の薬を服用し、生きていくだけでも困難だったという。
そのような環境の中では、やはり自分だけの力で作曲を続けることは不可能だったのだろうか。
※2014年2月6日追記
佐村河内守氏のゴーストライターだった新垣隆氏が、佐村河内守氏の難聴について、「私の認識では、初めて彼と会った時から、今まで特に、耳が聞こえないということを感じたことは1度もありません」と暴露。嘘だということを認めた。
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高橋大輔のソチ五輪演技曲「ヴァイオリンのためのソナチネ」も別人作
フィギュアスケート男子の高橋大輔選手が発表した、ソチ五輪シーズンの演技で使う曲に佐村河内守さんの「ヴァイオリンのためのソナチネ」が選ばれたが、これも本人の作品では無いと見られている。
“誰かが作った曲”で演技することになった高橋選手
ソチ五輪で高橋大輔選手がショートプログラムで演技をする「ヴァイオリンのためのソナチネ」は、宮本賢二氏が演技を振り付け。義手でバイオリンを奏でる少女に贈ったとされ、バイオリンとピアノが絡む美しい曲だ。
高橋選手自身も「最後は希望があると感じた」と曲に対してコメントしている。
周囲からも、聴力を失った作曲家である佐村河内さんについて「佐村河内さんなら音楽を視覚で感じられるように表現できる」と後押しがあったのだ。
ソチ五輪開幕直前に、まさかの作曲者が偽物と判明し、“作った人がわからない曲”で演技するという事態に。
曲に希望を感じていた高橋選手は裏切られた形になり、演技の影響は小さいとは言えないだろう。
※2014年2月6日追記
「ヴァイオリンのためのソナチネ」は、佐村河内守氏のゴーストライターだった新垣隆氏の作品ということが2014年2月6日、新垣氏本人による記者会見で明らかになった。
NHKも謝罪「本人が作曲していないことに気付かなかった」
今回の事態を受けて、NHKは2月5日、佐村河内さんが両耳の聴力を失った作曲家として大ヒットするきっかけとなった特集番組「NHKスペシャル」について釈明。
「放送当時、本人が作曲していないことに気付くことができませんでした」とおわびのコメントを発表した。
十数年の時を経て告発…問題の発端は金銭トラブルか?
今回問題が発覚したのは、佐村河内 守さんのゴーストライターである、作曲をしていた本人が名乗り出て告発する準備を整えていることが発端だ。
今回告発するに至った背景には、佐村河内守さんと作曲者の間で意見の対立などのトラブルがあったと考えられる。
その理由が金銭的なものなのか、デビューの約束を反故したからといった問題か、詳しい要因はハッキリわかっていない。
しかし、十数年たってゴーストライターが告発するという事態に至ったということは、今回の高橋大輔選手がソチ五輪に使用する曲に採用されたことなどによる金銭的・社会的不満などがでてきた可能性が高いと見られている。
それこそ佐村河内さんの難病を献身的に影で支えてきたもうひとりの作曲者自身による告発。悲しい結末に終わってしまったといえるだろう。
すでにコンサート制作会社のアーティスト情報からは削除
今回の騒動を受けて、コンサート制作会社のSamon Promotionでは佐村河内守の情報を削除。
現代のベートーヴェン、奇跡の作曲家”佐村河内 守”という文言もろとも削除されており、「該当する登録情報はありません」という文言が表示されるだけだ。
高橋大輔選手「ショートプログラムの変更は致しません。やるべきことに真摯(しんし)に取り組む」
高橋大輔選手(27)は2月5日、今回の件は知らなかったとし、「今後もショートプログラムの変更は致しません。今は五輪直前の大切な時期なので、やるべきことに真摯(しんし)に取り組む」とコメントを発表した。
思わぬ試練の場に立たされることになった高橋選手。この逆境を乗り越えられるように精一杯の応援を送りたい。
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