鹿児島・桜島が大噴火間近
地元で観測を続ける専門家によると、桜島が大噴火のカウントダウンをはじめているという。
現在の噴火警戒レベルは「入山規制」にあたる「3」。
気象庁の最新情報によれば、2014年10月10〜14日も活発な活動が続き、この間の火山性地震は18回。
御嶽山(おんたけさん)ですら噴火前はレベル1(平常)だったため、危険な状態であるということはわかるが、なぜ大噴火目前と断言できるのだろうか。
100年前の『大正噴火』と同じエネルギーが溜まっている
京都大学防災研究所教授・火山活動研究センター長の井口正人氏は、30年来、桜島の観測を続けている。
その井口氏が、現在の桜島の状態について、100年前の『大正噴火』と同じ規模の噴火を起こすだけのエネルギーがすでに溜まっている状態にあると断言する。
1914年に発生した桜島の大正噴火は死者・行方不明者58人、負傷者112人、焼失家屋2140棟という大災害だった。
[ad#ad-1]
最新設備による観測からマグマ量が爆発寸前と判明
過去のデータやGPS(全地球測位システム)の観測を続けている井口氏。
それによると、桜島にマグマを供給している、姶良(あいら)カルデラのマグマの量は大正噴火時のおよそ90%に到達。大規模噴火に備える時期にきているという。
今の桜島を取り巻く状況は「大正噴火」が発生した当時に酷似している。
大正噴火の際は、霧島がその前年と4日前と2度噴火し、薩南諸島の火山も続けて火を噴いた。現在、桜島周辺の南九州の火山はいずれも活発化している点で、当時の様子と非常によく似ている。
井口氏によると、霧島と桜島は供給されるマグマ溜まりが違うが、連動することはありえるのだという。
片方が膨らめば、もう一方はそれに応じて圧を受ける。南九州の活火山はお互いに圧力を与え合う関係にあり、しかもすべてマグマが溜まっているのだという。
着々と1000年に1回の噴火準備中
九州の火山は連動して次々と噴火する可能性があり、さらに次なる噴火は大正噴火よりも大きな被害を出すかもしれないのだ。
鹿児島大学大学院准教授で火山地質学者の井村隆介氏によると、桜島のマグマ量は右肩上がりに増えているという。
また、何度も噴火し、また溜まるという過程で、すべてのマグマを噴火させずに一部、残しており、その上でまた新たにマグマが溜まっていっているので、トータルでは想定以上に増えているかもしれないのだという。
ということは大正噴火を超える、1000年に一回の噴火規模の準備をしている可能性もあるそうだ。
桜島北西50キロ地点の川内原発への影響は
桜島で今世紀最大規模の噴火が起きた場合、北西50㎞のところにある川内原発にも当然、影響を及ぼすと見られている。
風向き次第だが火山灰が降るのは間違いない。そして、この火山灰の影響というのが非常に恐ろしいものなのだ。
災害予測の専門家で立命館大学歴史都市防災研究所教授の高橋学氏によると、大規模な噴火があると、降雨を伴うことが多いという。
そのときに電線に降り積もった火山灰が水を含み、重量を増して電線を切ってしまうのだ。
また原発周辺の変電設備の絶縁体に火山灰が積もれば漏電することもありえる。
そんなことが続発すれば、原発が電源を喪失する可能性があるのだ。
さらに大量の火山灰によって、原発に向かって人員が移動することも困難な自体になるなど、川内原発が受ける影響は甚大だ。
そして、忘れてはならないのが、地震のリスク。
大地震の引き金になる桜島噴火
桜島の噴火は大地震の引き金となる場合もある。
実際に大正噴火が発生した際は、噴火は午前10時から始まったが、その日の18時に鹿児島湾でM7.1の地震が発生している。
あらに、なんと言っても恐ろしいのは噴火の周期が1万〜数万年に1回と言われている「カルデラ噴火」発生の可能性だ。
カルデラ噴火とは、直径約20㎞の姶良カルデラ自体が噴火すること。前回の噴火は3万年前だ。
マグマが溜まっていて、噴火してもおかしくはないと見られており、噴火すれば規模はケタ違いだ。
川内原発も火砕流に覆われることになる。
そうなれば500度〜600度という高温になり、数十年近づくことができなくなるので、原子炉は放置するしかなくなってしまう。
火山学者の間では、姶良カルデラの噴火の予知は難しいというのが一般的だ。
想定外のことが起こることは福島で学んだ。川内原発の再稼働はありえないと思うべきだろう。
No commented yet.