堺さん「ことしは特別な年だと思いますね。」
最終回で視聴率42%超えという今世紀最高記録を打ち立てた大ヒット作「半沢直樹」(TBS系)。
メガバンクを舞台に出世と私欲に走る上司たちを成敗していく半沢を演じた堺雅人さん。
半沢直樹は初回19.4%から毎週視聴率を伸ばして社会現象化。「やられたらやり返す。倍返しだ」の決め台詞も大ヒットした。
しかし、堺さん自身は、世間の反応を未だに直に感じ取ったことはないのだとか。
堺さん「まあ、単純に世間と接してない友達もいないんだってことなんですが(笑)。『倍返しだ!』が流行語になっていると聞いて、僕も使ってみたいと思ったけれど、普段の会話ではどのタイミングで出せばいいのか分からないんです。」
だから、プライベートでは今まで一回も『倍返しだ!』って言ったことないのだそうだ。
「やられてなくてもやり返す。八つ当たりだ!」の真相
現在放送中の「リーガルハイ」(フジ系)では、半沢の名ゼリフをもじり、「やられてなくてもやり返す。八つ当たりだ!」とキメる場面があるが、それについてはどう思ったのか。
「それはもう台本にそう書いてあったので、自分が演じた役を自分でパロディーにするのも、楽しんでやりました。半沢と古美門(研介)ではキャラクターが正反対と言われているけど、演技としてはどちらも相手にセリフを突き刺していく感じが似ています。攻める芝居という意味では、実は同じなんですよね。」
半沢は5億円の損失補てんなど、達成困難なミッションを命じられても、諦めずに立ち向かい、「銀行は誰のためにあるのか」という根本的な問いを上司たちに投げかける。
その真摯さが多くの人達の共感を呼んだといえるだろう。
半沢のキャラクターについて堺さんのコメント
原作小説には無いけれど、半沢が学生時代から剣道をやっているという設定が、僕には筋が一本通った感じで、やりやすかったんです。
そのおかげで、姿勢を良くして、真っ直ぐな男を演じることができました。」
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半沢の核は、演出を務める「福澤克雄」が持っているもの
剣道の達人である半沢が悪い上司や経営者を退治するという痛快さは、一種、時代劇にも通じるところがある。
堺さん「剣道という体育会系の要素が加わったのは大きかったですね。
そこに演出の福澤克雄さんがラグビー日本一に輝いた青春時代の要素も盛り込めた。
僕は半沢をずっと『気持ちのいい男だな』と思って演じていたけれど、それは演出を務める福澤さんの持っているものだと思います。
これはまず原作の池井戸潤さんが書いた物語だし、ドラマも共演の先輩方やスタッフとみんなで作り上げたものではあるけれど、半沢という男の核にいるのは福澤さんだと思っています。」
福澤Dは、粘り強い演出で有名だ。
一つの場面の撮影を多い時には10回繰り返し、その間、堺は「同じ球を同じコースに」投げ続けた。
福澤Dはそんな堺を「名投手」に例えて、
「投手がボールを支配するように、堺さんは言葉も支配できる」と絶賛した。
いわば2人が最強のバッテリーとなって、現場を引っ張っていたと言えるだろう。
あまりのハードスケジュールに非常事態宣言!?
堺さん「福澤組は精も根も全て注ぎ込むチーム。何といっても後半5話はひと月で撮りましたから、あまりのハードスケジュールで、TBSの緑山スタジオにいる僕たちだけに『たいへんだ!たいへんだ!』という非常事態宣言がずっと鳴り響いている感じでした。笑」
この非常事態宣言のさなかは、セリフを覚えるのも追いつかないくらいで、余裕なんか全く無かったのだそう。
最終回、大和田常務(香川照之)に土下座を迫る場面も早朝から半日以上かかったそう。しかし、堺さんはあのクライマックスが最も印象に残っているシーンなのだそうだ。
福澤Dとの接点が生まれた『南極大陸』
TBSの日曜劇場では「官僚たちの夏」(2009年)で戦後の経済復興のために尽くした通産省官僚を演じ、さらに「南極大陸」(2011年)への出演を経て、今回初めて主演俳優となった。
堺さん「『南極大陸』は福澤さんと出会うきっかけをくれた作品。『官僚たちの夏』で共演した佐藤浩市さんや高橋克実さんの演技は、半沢を演じるときに頭に浮かびました。
『官僚たちの夏』で働く男を演じて、また今回『半沢直樹』で日々戦い続ける男たちの姿をじっくりと描けたのは良かったです。
どんなお仕事にも“続き”があるんだなぁとあらためて思いますね。
今後も僕は与えられた役をきちんと演じていきたいと思っています」
そんな経緯を経て生まれた今回のヒット。しかし堺さんは高視聴率の他にも得るものがあったのだとか。
堺さん「金融業界のサラリーマンが主役という今までやったことのない作品に挑戦して、新しいジャンルも確立できた。
俳優としても、また一つ活躍できる場所をつくってもらえました。
僕自身は会社に勤めた経験がないので、サラリーマンの気持ちがわかるなんておこがましいことはとても言えないけれど、ピシリと背筋を伸ばして、半沢直樹という気持ちのいい男を演じられたのは、本当に楽しい経験でした。」
俳優として、常日頃から演技に磨きをかけている堺さん。
これからもたくさんの映画やドラマで“怪演”を披露してくれるだろう。
今後の活躍にも注目だ。
ドラマ「大奥-誕生[有功・家光篇]」 (2012年TBS系)、映画「ひまわりと子犬の7日間」(2013年) など多数出演。 ドラマ「リーガルハイ」(フジ系)に出演中。
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