
いよいよ『ごちそうさん』最終回目前!
大河ドラマも含めて、今クールのドラマはどれも苦戦中だが、朝ドラだけは昨年から20週連続で視聴率21%超え。2014年2月20日までの121回の平均視聴率は22.4%を記録。『あまちゃん』の20.6%を大きく上回った『ごちそうさん』。
撮影は全て終了しており、NHK大阪のスタジオでクランクアップ。杏は夫・悠太郎役の東出昌大との共演について「変わり者同士の夫婦だったのですが、もうお互いしかいないというような存在でした。こういう夫婦って、いいなと思います。信頼し合っていて、2人とも個性はまったく別々なのですが、なんだか当人同士にしかわからないような形でわかり合っているところが素敵だと思いました」とコメント。
今回は、最終回に向けて、毎朝ナゼか見続けてしまう、『ごちそうさん』の不思議な魅力と気になる最終回を分析!
『ごちそうさん』最終回が迫り、め以子は最大の試練を迎える
いよいよ『ごちそうさん』の最終回が迫っているが、いったいどんなクライマックスを迎えるのだろうか。
チーフプロデューサーである岡本幸江氏によると、子供たちが20歳近くになり、め以子は最大の試練を迎えるということを明かしている。
め以子と悠太郎、二人が知恵を絞って立ち向かっていく姿が描かれる
これまで、め以子が料理、悠太郎が建築で、それぞれ創意工夫をして問題を解決する様子が描かれてきた。
たんぽぽでコーヒーをつくったり、大豆で肉を作ったり、あるいは建築資材がなくなったら、中止になった現場から鉄筋を集めてきたりしてきて困難を乗り切ってきたのだ。
テレビドラマに詳しい評論家・宇野常寛氏によると、この先、戦争が激しくなっていって、二人が知恵を絞って立ち向かっていくところを描くのではないかと予想。
最大のピンチは戦火でめ以子が大切にする糠床(ぬかどこ)が無くなること!?
ドラマ好きで知られるミステリー作家の霧舎巧(きりしゃたくみ)氏は、クライマックスの「最大の試練」を悲愴感のある展開は避けて通るんじゃないかと思うと予想。
だから、最大のピンチは戦火で焼け出されて、め以子が大切にする糠床(ぬかどこ)がなくなってしまうとか…と予想した。
それぐらいの軽さで、め以子には十分な試練なのでは?と思うそうで、霧舎巧(きりしゃたくみ)氏が描くんだったら、そうするそうだ。
吉行和子(祖母トラ役)「悠太郎さんはびっくりするようなかたちで帰ってきますから、楽しみにしてください」
尚、2014年3月15日放送の「土曜スタジオパーク」(NHK)に登場した吉行和子が、生放送中に結末のネタをバラしてしまう事件が発生した。
トーク中、途中で戦争に出たままのめ以子の夫について「悠太郎(東出昌大)さんは……」と言いそうになってしまい、隣のアナウンサーが「言っちゃ駄目ですよ」と止めたが、しばらくしてまた、「悠太郎さんはびっくりするようなかたちで帰ってきますから、楽しみにしてください」ととびきりの笑顔で言い放ったのだ。
「ごちそうさん」本編では満州に行った悠太郎はいまだ戻らずじまいで、悠太郎は戦死したのか、戻ってくるのかが大きなポイントになっている。ある意味、最大のクライマックスともいえるだろう。これについてはNHKもシークレット扱いだったようだ。
最後回に最大の試練を乗り越えた後、「びっくりするようなかたち」で帰ってくる悠太郎とどんな料理に「ごちそうさん」するのか、今から楽しみだ。
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ストーリーが進むにつれ目玉だった料理が食糧不足でどんどん貧相に
『ごちそうさん』で杏演じるヒロインのめ以子。
主婦として大阪市役所建築課勤務の夫・悠太郎(東出昌大)を支え、家事と子育てに追われる日々を送っている。
2014年2月以降の回は戦時下が舞台。世相は暗くなり、目玉だった料理も食糧不足でどんどん貧相になっていく。
最終回が近づくにつれ、どんどん地味な内容になっていくように見える『ごちそうさん』。しかし毎朝欠かさず見てしまうこの面白さは何なのだろうか。
苦難も最後は “食べ物と人への感謝”につながる『ごちそうさん』に込められたメッセージ
ドラマ評論家のこうたきてつや氏によると、人気の理由は『ごちそうさん』というタイトルに込められたメッセージにあるのだという。
ドラマで描かれた関東と関西の食文化の違い、そして小姑の嫁いびり。さらには関東大震災や戦時下という『ごちそうさん』で描かれる苦難の連続。
この苦難は最後には“食べ物と人への感謝”につながるのだという。
食べ物に規制がかかり戦争に腹立たしさを覚えるめ以子
たとえば戦時下のエピソードでは、め以子は、初めは『お国のために』と思っていたが、それが『贅沢は敵だ』と食べ物に規制がかかるようになってからは戦争に腹立たしさを覚えるようになっていく心情が描かれている。
暮らしの目線から平和を願う気持ちが巧みに描かれているのである。
コラムニストの桧山珠美氏「食を物語の中心に据えたことが勝因」
『ごちそうさん』の勝因が、ドラマのテーマを「食」にしたことだと指摘するのはコラムニストの桧山珠美氏。
め以子は365日、ずっとご飯を作り続ける、いわばただの”飯炊き女”の話だ。
しかし、彼女のご飯のおかげで、家族がひとつになり、消極的だった義妹も変わっていく姿が描かれていく。
妻として母として、家族のために毎日ご飯をつくる仕事は重要なんだ、と私たちに気づかせてくれるのである。
毎日ご飯を食べさせていたから、夫がちゃんと戻って来た
第90回ではケンカをしてめ以子に家を追い出された悠太郎が、幼なじみの亜貴子(加藤あい)の家でカレーをごちそうになるが、その後、彼は自宅に戻るというシーンがある。
悠太郎はそこで妻に
「あなたのカレーがある限り、よそのカレーを心からうまいというのはボクにはムリなんです」
と言うのだ。
毎日ご飯を食べさせていたから、夫がちゃんと戻って来た、というエピソードに説得力があるのはこのドラマならでは。
そのため、毎朝見ていると、徐々に視聴者も胃袋をつかまれていくのである。
多くの視聴者が泣いた第96回―明日のご飯を考えながら逝った義父
中でも多くの視聴者が「泣いた」のが第96回。
め以子の義父・正蔵は体調を崩しながらも、家族と夕餉(ゆうげ)をともにし、孫たちと会話を楽しむ。
そして眠りにつく間際、「ごちそうさんな人生やな」とにこやかにつぶやき、静かに逝くというシーンだ。
葬式の後、悠太郎はめ以子に「最高ですよ。明日のご飯、考えながら逝ったなんて」と言うのだ。
視聴者は必ずしも劇的なストーリーを求めていないことを証明した
元毎日放送プロデューサーで、同志社女子大学教授の影山貴彦氏によると、『あまちゃん』や『半沢直樹』がヒットした一方、視聴者は必ずしも劇的なストーリーを求めていないということを『ごちそうさん』が証明したのではないかと解説。
朝ドラは自分のお気に入りキャラを見つけやすい
コラムニストの桧山珠美氏によると、朝ドラは自分のお気に入りキャラを見つけやすいのだという。
中高年男性にとっては、『あまちゃん』における美保純的な存在にあたる義母役の宮崎美子。
自分が若かった頃に一世を風靡(ふうび)した存在で、昔の恋人に会っているような気持ちになれるのだ。
女性に向けては、近藤正臣がいい感じに老けている。東出は理系男子好きの女子にはたまらない。毎日見ていると、ご近所の家みたいな感覚になるのだ。それも朝ドラの魅力といえるだろう。
いよいよ最後回が迫る「ごちそうさん」。最後まで忘れずにチェックしよう。
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