日本在住で中南米出身の40代の男性が、2013年6月に献血した際の血液の検査でシャーガス病に感染していることが判明した事件をご存知だろうか。
この献血により採取された血液が数人の患者に輸血されていることも報じられ、大きな話題になった。
尚、日本赤十字社は、輸血された患者の追跡調査結果の結果、全員が検査陰性であり、シャーガス病に感染した患者は確認されなかったとしている。
アメリカでは「第二のエイズ」とまで言われている「シャーガス病」とは、いったい何なのかを解説しよう。
シャーガス病とは?
シャーガス病は中南米において発生する感染症。カメムシの一種であるサシガメの体内にあるトリパノソーマという原虫が人間の体内に寄生することで、心臓などを肥大させ破裂させるという恐ろしい病気だ。
シャーガス病の感染者と死者数
感染者は中南米を中心に800万人にいると言われ、毎年1万2000人が命を落としていると言われている。
シャーガス病の名前の由来
トリパノソーマ原虫を見つけたカルロス・シャーガス医師にちなんでつけられた。
血液の中をニョロニョロ動く気持ちわるい原虫「トリパノソーマ」
人間の心臓などを破裂させて死に至らしめるシャーガス病の原因は、「トリパノソーマ」と言われる寄生虫だ。
この「トリパノソーマ」は、人をはじめとしてイヌ、ネコなどのおなじみのペットからナマケモノ、アルマジロなどの野生動物に寄生することができる。
シャーガス病の感染
シャーガス病の原因である「トリパノソーマ」は、どのようにして人間に感染するのだろうか。
シャーガス病病原体を媒介するのはサシガメ
サシガメは、中南米の貧困層が住む家の土壁などに生息する、吸血性のカメムシ。
このサシガメが、血液のある動物を何でもブスブス刺して寄生虫を運ぶのだ。
シャーガス病の原因である「トリパノソーマ」は、サシガメの糞の中にいる。
サシガメは吸血して満腹になると脱糞するが、サシガメに刺されたときに傷口をこすり、刺し傷のまわりにある糞をすり込んでしまうことで感染してしまうのだ。
シャーガス病を発病するとどうなるの?
ほとんどの人はすぐに症状が出る事は無い。しかし血中に侵入したシャーガス病の原虫であるトリパノソーマは腸管や心臓の細胞内や筋組織などに侵入し増殖。二十年から三十年後に活動を再開するのだ。
そのあと、拡張型心筋症、巨大食道、巨大結腸などを引き起こし、最悪の場合は死亡する。
分かりやすくいうと、心臓が徐々に肥大し、心臓破裂で死亡することがある。
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シャーガス病の予防
それではこの恐ろしい病気、シャーガス病を予防する手段はあるのだろうか。
日本のサシガメにはトリパノソーマは寄生していないので刺されても大丈夫
サシガメは南米だけでなく、日本にもいる。
外観がキレイなため、コレクションしている人もいるのだとか。
日本で存在されているとされている沖縄では、絶滅危惧種であり、逆に貴重な存在なのである。
なお、日本のサシガメにはトリパノソーマは寄生していないので、刺されても血を吸われるだけで、糞に病原体もいない。
南米でアサイジュース、サトウキビジュースを飲むと感染する危険性
国内で感染する危険性はほぼ無いが、問題なのは中南米に旅行した時だ。
最近の研究では、シャーガス病の病原体がアサイや、サトウキビの生ジュースの中にいることが判明している。
病原体を飲みこんだ時点で感染してしまうため、南米への旅行者はアサイジュースやサトウキビジュースを気軽に飲まないほうがいいだろう。
知らぬ間に感染してしまうと、血液検査をしない限り、発見は難しいのだ。
シャーガス病の検査
トリパノソーマ原虫は感染者の血液中に常にいるわけではない。
虫血症と呼ばれる状況の時にしか血液中に出てこないのだ。
そのため、虫血症の時期以外は顕微鏡などを使って血中のトリパノソーマを見つける事ができないため、抗体検査でシャーガス病かどうか判定をする。
シャーガス病の予防と治療
南米に旅行した後、シャーガス病に感染してしまった場合、治療する方法はあるのだろうか
シャーガス病のワクチン
シャーガス病にはワクチンが存在しない。
そのため、輸血や臓器移植による感染を防ぐために、血液検査によるスクリーミング(ふるい分け検査)が必要だ。
シャーガス病の治療法
急性期に感染に気付いた場合は、ベンズニダゾールかニフルチモックスを投薬することで寄生虫を殺せるが、時間が経って拡張型心筋症、巨大食道、巨大結腸になってしまった際は外科手術での対応しかできず、治療法はないとされている。
南米に長期滞在することになった場合や、旅行などをした際は、血液検査などをする必要があるだろう。
シャーガス病を取り巻く環境
中南米諸国からの出稼ぎ労働者の10%が保虫者!?
中南米諸国から日本への出稼ぎへ来る移民は、40万人を越えていると言われている。
これらの出稼ぎ者のうち(10%=約4万人)が南米の風土病の一つであるシャーガス病の原虫保持者でないかと言われているデーターもあるという。
実はすでに日本での発病事例は多数
出稼ぎ労働者の中で、自覚しないままシャーガス病原虫(トリパノゾーマ)の保虫者の場合、日本で発病する人がすでに現れている。
保虫者であっても発病するのは二十年から三十年後のため、保虫しているという意識がなく、さらに、発病しても日本では診断できる医師が少なく、治療も出来ないのが実状なので、特定されるケースも無いのだという。
尚、日本赤十字社では、中南米の長期滞在者をはじめとするシャーガス病の感染リスクがわずかでもあると考えられる方から献血された血液は、輸血用血液として使用しないという安全対策を、昨年10月から実施している。
ひとりひとりがシャーガス病の正しい理解をしていく必要があるだろう。
jicaで南米に赴任したときのこと、2年間の任期を終えて帰国した際に「シャーガスに感染しているかもしれない。検査を受けたい」と健康管理人に申し出たら、「サシガメに噛まれると痛いですよ。噛まれた覚えがないなら感染していませんから、検査は不要です」と告げられた。理屈が通っていない疑わしい見解だが、ジャイカで働く看護師が言うのだから、しかたなくそれを信じた。しかし、どうやら、「私は、感染していた」と分かってきたのはあれから、10年以上経過してからである。ジャイカが憎いよ。
国柄問わず性悪説前提で対人関係を築かないとそういう目に遭います。安易に他人の言葉を信じる貴方が悪いと私は思います。
明らかにJICAの責任なのに感染者を二重に苦しめようとしているあなたは社会のお荷物だと私は思います。