すぐそこにある脳梗塞…
日本人の死因ランキング4位である脳卒中。
1位 悪性新生物(ガン) 370,346人
2位 心疾患 196,113人
3位 肺炎 120,953人
4位 脳血管疾患(脳卒中) 111,973円
そのうち脳梗塞が64,523人(約6割)
男性 30,070人
女性 34,453人
5位 老衰 84,810人
そのうちある日突然発症する脳梗塞は全体の6割にも及ぶ。
脱水を起こしやすい夏と、室内外の温度差が激しい冬は脳梗塞が起きやすい危険な季節だ。
“ある日突然…”と思われがちな脳梗塞だが、ふだんの食事や簡単な運動など生活習慣の改善で予防できることがある。
脳梗塞の主な原因は食生活の乱れや運動不足などによる高血圧、動脈硬化だ。
男女の差はほとんどなく、40代でも発症する可能性がある。
また、すでに無症状の脳梗塞を起こしていることも少なくない。
若いうちから予防意識を持つことが大切だ。
どんな生活が脳梗塞を防ぐのか。そして、万が一起きたときにはどうすればいいのか。
今や国民病ともいえる脳梗塞を解説する。
脳梗塞になりやすい人チェックリスト
若いから大丈夫と思っている人も、実は脳梗塞予備軍かもしれない。今すぐチェックを。
お酒を毎日1合以上飲む
健康診断を1年以上受けていない、もしくは最近の健康診断で異常が見つかった
揚げ物や炒め物など、脂っこい食事が好きだ
肥満体型だ(BMI25以上)
ここ1年で体重が5kg以上増えた
毎日8000歩以下しか歩いていない
日々、ストレスを感じている
睡眠不足を感じている
家族に脳卒中だと診断された人がいる
脳梗塞危険度 100%
すぐに病院で相談をするべき
近いうちに病院へ相談に行くこと。
健康診断を受けていれば、その結果を持っていき、詳しい検査を今すぐ受けること。
チェック3~7個
脳梗塞危険度 50%
生活習慣の見直しを
特に喫煙、お酒を飲む、体重が5キロ以上増えたの項目にチェックがついた人は要注意。生活習慣を改善する必要がある。
チェック2個以下
脳梗塞危険度 20%
今の生活を続けましょう
脳にとってよい生活を送っているといえる。
このまま継続していき、なるべくチェックがゼロになるように心がけること。
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脳梗塞の種類
脳梗塞ってどんな病気?起きたらどうする?
知っているようで知らない脳梗塞の正体。症状が出た急性期の対処法も含めて知っておこう。
脳梗塞の種類は、主に以下の3つに大別される。
ラクナ梗塞
日本人に最も多い脳梗塞。
脳の細い動脈(直径1.5cm未満)が高血圧で痛み、小さな梗塞を引き起こしている状態。最初は症状を出さないことも多いがゆっくりと進行していき、手足のマヒで気づく場合もある。
アテローム血栓性脳梗塞
動脈硬化で細くなった血管が血栓により閉塞する場合と動脈硬化で生まれた血栓が血流にのって脳の血管を閉塞する場合がある。
高血圧、糖尿病、高脂血症などの生活習慣病を抱える人に多い。
心原性脳塞栓症
心臓にできた血栓が脳に流れて梗塞を引き起こす。不整脈のある高齢者に起こりやすい。近年増加傾向にある、広い範囲で脳梗塞を起こすことが多いため3つの中では最も恐れられる。
こんな症状が出たらすぐに病院へ
片側の手足にマヒが出る
箸や茶碗を急に落としたり顔の片側だけがゆがむ
急にろれつが回らなくなる
言いたいことが話せなかったり、つばが飲み込めず嚥下(えんげ)障害を起こすこともある。
片方の目が見えなくなる
片方の目だけカーテンがかかったような感覚になる。
ふらついてうまく歩けない
足がもつれて転倒したり、つまずいたりする。めまいがすることもある
相手の話が理解できない
聞こえているのに何を言っているのか全く理解できない
手足のマヒや目の見え方など、左右のどちらか片側だけに症状が出るのが特徴
合言葉はFAST!
Face(顔のマヒ) Arm(腕のマヒ) Speech(言語の障害) Time(発症時刻)
これは脳卒中を強く疑うべき三つの症状、顔の麻痺(Face)、腕の麻痺(Arm)、ことばの障害(Speech)の頭文字を組み合わせたもの。
Tは時刻(Time)の頭文字で、発症時刻(Time)を指している。
これら三つの症状の有無と発症時刻を確認して、一刻も早く救急受診するよう呼びかけるスローガンなのだ。
症状がおさまっても必ず受診すること
一時的に脳の血流が悪くなって血栓が起こった「一過性脳虚血発作(TIA)」の可能性がある。
症状は30分程度~24時間以内には消えるが、放置すると20%の人が3ヶ月以内に脳梗塞を起こすといわれるため、たとえ症状が収まっても、病院でCTやMRI検査を行うべきだ。
脳梗塞になったらどんな治療をするの?
自分や家族が脳梗塞を起こしたら、どんな治療が待っているのか。最新治療とポイントも解説!
手術
カテーテルが大活躍
詰まってしまった血管の血栓を取り除く手術がメイン。
主に詰まった血管の手前までカテーテルを入れる。
血栓溶解薬を注入する脈内血栓溶解術(発症6時間以内が対象)やカテーテルの先に装置をつけ、血栓を除去する血管内治療(発症8時間以内が対象)が行われる。
医師との相談により、脳梗塞のリスクを下げる手術が行われる場合もある。
頸動脈内膜切除術(動脈硬化で厚くなった血管の内壁を取り除く)や血管吻合[ふんごう]術(閉塞・狭窄[きょうさく]した血管を他の血管とつなぐバイパス手術)など
血管内治療で使用されるカテーテルの先につける血栓除去装置は、次々と新しい種類が登場している。
大きな血管の詰まりにも対応できる装置が承認されるなど、期待が寄せられている。
また、ダメージを受けた脳細胞にiPS細胞を移植するなどの研究も行われている。
脳梗塞を予防するGood習慣
脳梗塞は以下に挙げた12の行動を行うことで、劇的に発生を抑えることができる、
ストレスを解消する
ストレスがたまると、血液の粘度が上がり、血液の壁を傷つけて動脈硬化になる。
カラオケやおしゃべりなど、人とコミュニケーションをとるのがおすすめだ。
水分補給をこまめに
脱水症状になると血液の流れが悪くなり血管が詰まりやすくなる。
のどが渇いたなと思う前に定期的に水分補給をするように心がけよう。
規則正しい生活を送る
不規則な生活や睡眠不足が続くと血圧を上げるホルモンが出やすくなり動脈硬化を進行させてしまう。夜更かしも控えるべきだ。
お風呂はぬるめのお湯に
熱いお風呂は血圧を急上昇させるだけでなく血小板を変化させ粘度を高めてしまうのだ。
38~40度のぬるめのお湯で15分程度の半身浴が理想だ。
1日8000歩を目標に歩く
まずはスマホの歩数計アプリなどを利用して1日の運動量をチェック。
そのうえでスーパーへ歩いて行くなど、運動を生活の中に織り込む方法で歩数を調整するのが良い。
リモコンを使わない日を作る
運動の時間を捻出するのが難しいという人は「階段しか使わない」「リモコンを使わない」といった週に一日だけ不便な日を作ると自然と運動量が増える。
ドレッシングを控える
野菜を食べるのは◎だが、オイリーなドレッシングをたっぷりかけるのは✕。
サラダはアマニ油やオリーブオイル、えごまオイルにひとつまみの塩をかけて食べるのが良い。
青魚を食べる
DHAやEPAが豊富なサバ、アジ、イワシなど青魚はコレステロールや中性脂肪を減らしてくれて動脈硬化を予防してくれる。積極的に食べよう。
玉ねぎを食べる
玉ねぎに含まれるアリシンは血液をサラサラにして血行をよくしてくれる働きがある。
同様にニンニク、大根、長ネギなどもオススメ。
キノコ類を食べる
食物繊維が豊富な食品は血中コレステロール値の上昇を抑制してくれるだけでなく、腸内環境を整えて血液をよい状態にしてくれる。豆類、海藻類も◎。
1日1杯赤ワインを飲む
赤ワインに含まれているポリフェノールは中性脂肪と血中コレステロールの酸化を予防して動脈硬化の予防に役立つ。
プルーンや桃などの果実でも取れるのでそちらでもOK。
料理のアクセントにクルミを
クルミは動脈硬化の原因となる悪玉コレステロールを減らすαリノレン酸とリノール酸を含有。
サラダにトッピングしたり間食に食べるのもよい。
脳梗塞とは、脳の血管が詰まって十分な酸素やエネルギー補給が行われず、脳細胞にダメージが起きた状態のこと。
脳卒中のひとつであり、脳梗塞の割合はなんと約6割を占める。
発症するのは60代以上の高齢が多いが、40~50代でも油断はできない。
脂っこい食事やストレス、運動不足などで高血圧や動脈硬化が引き起こされて危険度がグッと高まるのだ。
もし症状を感じたらすぐに病院を受診すべきだ。
実は脳梗塞には非常に小さく無症状である脳梗塞(無症候性脳梗塞)が存在する。
40代では3人に1人、50代では2人に1人が、この隠れ脳梗塞を起こしているという。
無症候性脳梗塞はMRI検査でよく見つかることがあり、増えてしまうと脳梗塞予備軍だった部分まで脳梗塞を起こしてしまう引き金になるのだ。
隠れ脳梗塞を持つ人の約3割は5年以内に症状を感じる脳梗塞を起こすこともある。
自分の脳に存在すると思って生活習慣に十分気をつけよう。
脳梗塞が発生しやすい時間とタイミング
脳梗塞が起きやすい時間を知ってなるべく危険を減らそう。
起床時
血圧が下がっていて血流が悪い
就寝中は水分を取らないので血液中の水分が不足している状態
交感神経が高まり、急に血圧が高くなる場合がある。
起床時は、以上の3つが重なる超危険なタイミング。
就寝前や起床時に1杯の水を飲むようにしよう。
玄関を出た瞬間
冬の玄関先は要注意。
寒さで一気に血管が収縮して血流が低下。
詰まりやすい状態になってしまうのだ。
なるべく寒暖の差を感じないようにしっかりと防寒して出かけるようにするべきだ。
お風呂
冬の玄関先同様、寒暖差が危険の種になる。
脱衣所には小さなストーブを置き、お風呂のフタを開けて浴室を温めてから入浴するとよい。
また、サウナは脱水を起こしやすいため、控えるのが賢明だ。
再発に気をつけて!
いかがだっただろうか。
5%の人が1年以内に再発するともいわれ、繰り返す人が多い脳梗塞。
1度目に後遺症が残らなかったとしても脳のダメージは蓄積されていくため、次はわからない。
生活習慣を改善し、必要に応じて血液をサラサラにする薬を飲むなど継続的なケアが必要だ。
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